生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第6章 焦がれる指先
スマホを片手に道順通り進めば、目的のセナの家に着く
一応呼び鈴を鳴らしてみるが、返答は勿論無かったので鍵を使って解錠
殊更ゆっくりとドアを開けてみれば、シーンと静まり返った薄暗い空間にひどく悪い事をしている気分になる
『まぁある意味悪い事か』
本来ならばこの役目は俺のものではない、シャチとペンギンの2人に任されている事だ
誰にも許可をされていない人間が入るとなると、不法侵入になりかねない
ならば此処で引き返すか?
『いや…だめだ』
俺は生徒会長として、会計であるセナを起こしに来たんだ。生徒会の1年をいきなり3人も遅刻させるわけにはいかない、被害は最小限に抑えるものだ
そうだから決して、毎朝セナの部屋に入って寝起きを拝めるあいつらが羨ましいとか…一緒に登校したいだとか、そんなやましい気持ちがあるわけではないのだ。決して
『って、誰に言い訳してんだ俺は…』
思い切って玄関に足を踏み入れる、靴を脱いで目の前の階段を静かに上った
ペンギンのメールによると、1番奥の部屋らしい
扉の前に着くと、一度深呼吸をしてノックをした
が、やはりそんな生易しい事では起きないようだ
入って起こすしかねェのか…
「入るぞ」
ガチャリ
「……チッ」
ある程度の覚悟はしていたつもりだった
パジャマ姿だろうが、服がはだけていようが、その下に下着(ブラジャー)を着けていなかろうが…
しかしドアを開けた瞬間、そんな覚悟は一瞬で吹き飛んだのだ…思わず舌打ちをしてしまうくらい
目の前にはかろうじて制服のスカートを纏い、上半身は下着のみでベッドにもたれ掛かって寝ているセナの姿
その手にはインナーとブラウスらしきものが握られているので、起きて着替えようとはしたのだろう
年中不眠症気味のローからすれば、こんな状態で寝ていられることがあり得ないのだが
『無防備すぎだろ…』
シャチやペンギンが起こしに来るときも、こんな事があるのだろうか
2人が何かをするとは思えないが、少なくともこの肌を何度も見ているはずだ
そもそもこんな無防備で誰にでも肌を晒しているセナが悪い、お前は俺の女なんだ、自覚あるのか?
「…セナ、起きろ。そして服を着ろ」
素肌に触れるのは躊躇われたが、肩を掴みガクガクと揺すってみるが、起きる気配はない