第19章 お前を許さない

そんな何とも言えない、和やかな雰囲気が流れているとガサガサと茂みが騒つく音が聞こえたのでその場の全員に緊張が走る

セナ以外の3人は武器を構え、臨戦態勢をとった

「ったくココ何処だよ……ん？お前ら何してんだ」
「ゾロ…！？」

騒ついた茂みを掻き分けて出て来たのは、鮮やかな緑色の髪を持つ三刀流の剣士。両手と口に刀を携えた彼は、海楼学園からセナを助けに来た仲間の1人だ

「なんで此処が分かったの？」
「あー…？まァ、勘っつーか」
「ゾロ屋…迷ったんだな」
「はァッ？！迷ってねェ！！」

「おい、外で暴れてたコイツが此処に辿り着いたってことは…」


ガサガサガサッ！！

『侵入者ロロノア・ゾロ、もはや此処まで……って、あれ？』

ゾロが現れた場所から遅れてやってきたのは、彼を追い掛けていたはずの学院の生徒や教師たち
1人の対象者をどれだけ大勢で追いかけてたのかと思うほどの人数がわらわらと茂みから湧いて出てくる

「チッ、いらんモン連れてきやがって」
「知らねェよ、こいつらが勝手に追いかけてきやがる」
「お前は麦わら屋たちと敵を引きつける陽動メンバーだったはずだが？」
「キリがねェし、湧いて出てくるのが面倒だろうが。しつけェしな」

スモーカーがこめかみを揉み解しながら、深々と溜息を吐いた
ゾロは今更だと肩を竦めて、改めて役割を告げるローの言葉も右から左へ流れているようだ

完全に後から現れた団体を無視していると、1人の生徒が声を上げる
引き続き他の生徒たちも思い当たる情報を口々に報告し始めた


『こ、こいつら行方をくらましていた侵入者たちです！』
『トラファルガー・ロー、そしてスモーカーの対象者2名、確保しろ！』
『人質に我が学院の生徒1名を確認。そして共に居る女性徒はサカズキ校長管理下の実験体とみられます！』

三番目に報告をした教師は、どうやら内情を知る者だったらしい
ローの後ろに隠れるようにしていたセナを指差し、どこか落ちつかない様子で周囲に報告すると一瞬その場がどよめいた

『何ィ？！何としてでも奪い返せ！さもなくば我らの命がないと思え！』

リーダーらしき男が、顔面蒼白になりながら周囲に指示を飛ばす
続いて緊張感に包まれた集団が、一斉に飛び掛かってきた

「奪い返す、だと？」

対峙するように一歩前へ出たローが、構えを取る