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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第19章 お前を許さない



「今さら、許してもらえないかもしれないけど」

気付くのが遅すぎたのは分かっている。だから許されないことも分かっているつもりだ
助けに来てくれたのは彼の優しさであって、その気持ちが今どこに向いていても文句など言えない

どこまでも自分勝手だとは思うけれど、それなのにこの気持ちはどうしても伝えたかった


「…つくづく、バカな女だな」
「ッ?!」

ローは溜息と共に口を開くと、掴まれたままの腕を引き寄せ身体ごとセナを抱きしめる
突然のことにろくな受け身もできず、ローの胸元に強か顔面を打ち付けた
それから身じろぎすることも出来ないほど、強く腕に力を込められたままとなる

「お前を手離せれば、どんなに楽だろうと何度思ったか」

絞り出すような声とともに、ローが口を開いた
けれどそんな言葉とは裏腹に、抱きしめた腕にはどんどん力が込められてゆく

「く、るし…ッ」
「俺の方が、苦しかった」
「え、っ?」

「お前が攫われた時、連絡が途絶えた時、…他の野郎に犯されかけてる時…どんなに俺の心も身体も引き裂かれそうな思いだったか、お前には分からないんだろうな」
「ッ…!」

自嘲気味に話すローに、セナは胸が締め付けられる思いになった
腕に込められた力のせいではなく、呼吸が止まりそうになる

いつも自信に満ち溢れて、弱い部分など見せないロー
そんな彼が、こんなにも意気消沈し自嘲気味になる姿など誰が知っているだろう
自分はこんなにも、彼を追い詰めていたのだと改めて実感させられた

「ロー…」

セナは恐る恐る背中に回した腕に、精一杯の力を込める
自分が傷付けておいて、本当に勝手な話だが…少しでも彼の傷が癒えればと想いを込めて

「…悪い」
「あ…」

密着していた身体を引き離され、ほんの少しの距離ができた
セナは顔を上げられずにいる…ローと再会してから、こうなることは分かっていたはずなのだ
けれど何処かで許してもらえると期待していた自分に嫌気がさした

「セナ」

名前を呼ばれても、返事ができない
口を開けば泣いて縋ってしまいそうだったから

「聞いてんのか」
「、なぁに?」

顔を上げることなく、努めて明るく返事をしたつもりだった
どうか声が震えていることを悟られないように

それなのにローは、静かに頰に手を添える

「顔を上げろ」
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