生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第19章 お前を許さない
『うわぁああああ!!』
その残忍な光景を一部始終見ていた生首が、恐怖や感じてないはずの痛みに発狂し始めた
すかさず声帯を取り払うと、床に愛刀を突き立てる
死を覚悟した生首が、意識を失ったところでローは漸く刀を鞘に収めた
そしてすぐ手の届く位置に愛刀を立てかける
セナはしばらく同じ体勢で居たためか、ぎこちなく脚を下ろし腕を胸の前で組んだ
そうするとパサリと何かが上から被せられる、見上げればローが上着を脱いでかけてくれていたらしい
「ありがと…」
「顔…殴られたのか」
「え、うん…」
「痛みは、あるよな…やはり殺して「だ、だめっ!もう動けなくしてるんだから、これ以上は十分でしょう?」
再び愛刀に手をかけようとしたローの手を掴むと、真っ直ぐ見つめ強く首を横に振る
「ロー…」
懇願するように名を呼び視線で訴えられると、ローは短く溜息を吐いて再び愛刀を壁に立てかけた
そうしてから暫く、2人の間には沈黙が続く
その沈黙は時間にすれば大した経過では無かったのだが、セナにとって、生きた心地のしない時間だった
脳内では先ほど再会時に言われたローの言葉が繰り返される
許さない、と。確かに言葉の意味はそのままなのだろうが、その真意はまた別のところにあるのも分かっていた
目の前に立つローは、これ以上何を言うわけでも無さそうだ
けれど確かに彼は助けに来てくれて、未だに掴んだ腕を振り払うこともない
嫌われたわけではない、こんな状況で安堵するのもおかしな話かもしれないが、セナは何故か確信できた
「あのね」
だから素直に湧き上がった感情を口にしようと思った。言いたいことは沢山ある、それでも一番に伝えたいのは心を失いそうになる直前まで想っていたこと
声にして明確な返事はなかったけれど、ローは視線だけを此方に向けて続きを促した
「ロー、愛してるよ」
本当はありがとうとか、ごめんなさいとか言うべきことは沢山あるはずなのに、何よりもまず伝えたいと思った言葉を伝える
ローも全く予想していなかったのだろう、ほんの少し瞳を見開いて固まっていた
「助けに来てくれてありがとう。勝手なことばかりしてごめんなさい」
どれだけ虚勢を張っても、結局はローのことしか考えられない
自分自身に嘘を吐く度、それは彼を傷付けることになるのだと、今になってやっと分かった