生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第19章 お前を許さない
男の生首を持ってセナからは見えない背後に回り込んだ
それから暫くして、なんのアクションも起こらないことを不思議に思ったセナが薄っすらと瞳を開ける
自分の身体を支える男の惨状に短い悲鳴を上げると、狼狽しながら視線を彷徨わせた
ローが声を掛けようとしたとき、生首の男が助けを求めるように悲鳴を上げる
その声に振り返ったセナが、瞳が落ちそうなほど大きく目を見開いた
「う、そ…でしょ」
目の前の光景全てが信じられないと入った様子で、セナはたどたどしく呟いた
改めてローの姿を瞳に映すと、再び口を開く
「なん、で…ローが此処に?」
その言葉にピクリと眉がつり上がったのがローは自分でも分かった
「…なんで、だと?」
自分から発せられた声は、地の果てから這い上がってきたように低く、冷え切っているのが分かる
セナはいつもそうだ、他人のことに気を配りすぎて自分のことを蔑ろにして
俺がどれだけお前を想っているのか、今回どれだけ心配して、どれだけ必死にここまで来たのか…全く気付かないんだ
助けになど来ないと、本気で思っていたのなら腹が立つ。直接でもなく一方的な伝言を残して、勝手に離れていこうとしたのにも苛ついた
手を伸ばせば触れられるほどの距離まで近付いて、未だ首無し男に抱えられているセナを見下ろす
「俺は…お前を許さねェ」
色々と言ってやりたいことはある、けれど一番言いたかったことのみ口にした
困惑した表情を浮かべていたセナの顔に、悲しみの色が混ざり合うと、暗い影を落とす
言葉とは誤解を生みやすい。それはよく分かっているが、今回ばかりは…まどろっこしい言い方をする余裕など無かった
「ロー…ごめん、なさい」
色々と思案した結果だろう、セナは瞳を伏せて謝罪を口にする
しかし彼女の謝罪を、今は素直に信じられない…出会った頃よりマシだが、彼女は謝るのがクセでもあったからだ
湧き上がってくる言葉のどれもをギリギリで飲み込み、続く言葉を視線で促した
が、その前にひとまず目下の状況をどうにかするために、技を発動させる
セナの脚を支えていた腕を切り落とし、そのままバランスを崩した胴体を切り刻んで床に落とした
支えを失った逞しい腕を脚から引き剥がし、同様に切り刻んで床にばら撒く