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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第19章 お前を許さない



「ッ、なんでよ…」

今まで築き上げてきたものが、ガラガラと音を立てて崩れ落ちる気がした
スミレは膝から崩れ降り、その場にへたり込む

ローは背を向けたまま、まるで自分の存在などなかったかのように、未だ地下へ繋がる道を探っていた
悔しさや悲しみに涙が滲んで、俯いた拍子に頰を伝う

すると視界に影が落ち、ハンカチが差し出された
顔を上げれば、ローが無表情でこちらを見下ろしている

「セナなら、こうしている」
「…?」
「あいつは自分のことなんざいつも二の次で、例え相手が敵だろうが今のお前みたいに泣いてるヤツがいれば、必死でどうにかしようとするくらいバカでお人好しだ」

ハンカチを受け取り涙を拭うと、呆れたようなそれでいて優しい表情をしたローと目が合った

「それから最後に聞いたセナからの伝言は、俺にお前と幸せになれ、だそうだ」
「ッ」
「お前が何を言ったか知らねェが、人の幸せのためならあいつは自己犠牲をも厭わない」

幼くして出会った頃も、学園で再会したときからいつだってそうだ
だから自分のことを疎かにしがちな彼女をどこまでも放っておけない

「バカじゃないお前なら、分かるだろ。この違いの意味が」
「…私、私…ッ」

ローの言葉に、スミレは再び涙が溢れ出して止まらなくなった
こんなの敵うわけなどない、自分はそんなに深く人を愛したことなどなかったから
それなのに愛されようというなんて、ひどくおこがましい話だ

気付かせてくれたのは紛れもなくローであり、その優しさは彼の中に存在するセナのモノなのだろう


「分かったならさっさと校舎に「地下への入り口を、教えます」
「…は?」

すくっと立ち上がったスミレは、一旦訓練場の出入り口まで移動する
そして立ち位置を確認すると、地面に埋め込まれたセンサーを正確に踏み歩いた

最後のセンサーを踏み込めば、カチリと解錠された音がして不気味な音を立てて地面の一箇所に地下へと続く階段が現れる

「いいのか、お前の立場が危なくなるんだろ」
「その時はその時です。気にせず、行ってください。そして必ずあの子を助けて」
「言われなくても、そのつもりだ。…礼を言う」
「気を付けて」

ローは階段を下り、身体全体が地上から隠れたところで入り口は再び遮断された
松明の明かりが怪しく灯り、薄っすらと地下通路が浮かび上がる
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