生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第19章 お前を許さない
自分たち以外、誰もいない空間でサカズキが口を開いた
不可解な言動にセナは不思議に思うも、身動きが取れないので首だけ巡らせることしかできない
なんの変哲もない木々の風景を見つめて、暫くすると不気味な音が辺りを包み込んだ
ズズズズ…ガコンッ
何かが擦れ合う音に続いて、鈍い音がする
再びサカズキは歩き出すと、セナは視界が段々と下がっていくことに気付いた
頑丈そうな石で作られた階段を下りているらしく、セナの頭が地上から見えなくなったところで鈍い音とともに、光が遮断される
刹那、松明のような薄暗い明かりが灯され、地下道の姿が浮かび上がった
カツカツと靴音を鳴らしながら、先の見えない地下道をサカズキは進んで行く
地下に下りてからどれくらい経っただろうか。かなり奥まで進んだ所で、歩みが止まる
どうやら、地下道の突き当たりらしい
ガチャン!ギギギギ…
狭い地下道には大きすぎる金属同士の不協和音が響き渡り、重厚な扉が開いて薄暗い地下道に光が射した
三歩進んで、再び重厚な扉が不協和音を奏でて閉まると、ようやくセナの身体は地に足を着くことを許される
辺りを見渡せばそこは地下とは思えないほど広い、研究室のような部屋だった
背後に立っていたサカズキにつんのめりそうなほど強く背中を押されて、前へ進むよう促される
今さら逆らっても、ここまで来てセナ一人の力ではどうしようもない
ゆっくりと歩みを進めると、一定の間隔を保ちサカズキも後をついて来た
部屋の奥へ進むと、会議室のようなスペースが見えて来て人が複数並んでいるのが確認できる
近づいてみると、白衣を着た研究者のような大人たちと、この学院の制服に身を包んだ屈強そうな生徒たちが数名ずつ此方に向かって敬礼したまま立っていた
『お待ちしておりました!サカズキ校長』
「件の娘を連れてきたけぇ、あとは計画通りに」
『『はっ!』』
一歩前に出るように背中を押されて、セナが前へ出ると全員の視線が一気に集まる
その視線には明らかな好奇の色が漂い、気分が悪くなりそうだ
『こっちへ来い』
「や…っ」
1人の研究者らしき男が腕を掴むと、セナは条件反射的に身体が拒絶を示し振り解こうとする
しかし力で敵うはずもなく、寧ろ窘めるように掴んだ手に力を込められた
「ッッ…!」