生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第19章 お前を許さない
曲がり角から顔を覗かせた1人の生徒が声をあげると、あっという間に周囲を取り囲まれた
『対象者2名、トラファルガー・ローとスモーカーを発見!どちらも能力者だ、油断するなよ!』
先陣切った教師らしき屈強な男が、周囲を見回して大声を張り上げる
取り囲む人だかりは皆、銃や剣などの武器を手にし慎重に攻撃の機会を伺っていた
すると声を上げた教師とは反対側に居た生徒が、慌てた様子で周知するように更に声を張り上げる
『1人、我が校の生徒が人質に取られているようです!』
『なにィっ?!』
「人質って、私のことですよね」
「「だろうな」」
たしぎが自分を指差すと、ローとスモーカーは当然のごとく大きく頷いた
敵と認識されているのは2人だけのため、近くに居た学院の生徒であるたしぎは自動的に人質と勘違いされたらしい
新たな事実に更に周囲の警戒が強まる中で、何事もないように中央に立つ3人は会話を続ける
「ここで時間を食ってるヒマはねェんだがな」
「同感だ」
「あのっ、私に任せてくれませんか」
「?どうする気だ、たしぎ」
正面突破をしても構わないのだが、何せ騒ぎが大きくなりすぎるのは、未だ敵の手中にあるセナの身に危険を及ぼし兼ねない
そこで口を開いたのはたしぎで、何か思惑があるのか自信ありげに大きく頷いてみせる
ローもスモーカーも辺りを伺った
流石に存在を無視したかのように放置されている敵陣から、苛立ちの雰囲気が見え始めている
ここは、たしぎの言葉を信じることが先決か
「どう思う、白猟屋」
「俺が言うのもなんだが、たしぎは中々頭のキレる奴だ。任せる判断で、間違いはねェだろ」
「そうか、なら…此処は任せた」
「はいっ」
『テメェら、ガン無視してんじゃねェぞ!!』
痺れを切らした生徒が1人、ローを目掛けて切りかかってきた
それをキッカケに全員が一斉に攻撃を仕掛けてきたことが、たしぎの思うツボだったのは後に知ることとなる
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カツン、カツン…
薄暗い地下道のような場所で、石畳に響く足音をどれくらい聞いていただろう
サカズキに担ぎ上げられ、どうにか抵抗を続けたものの相手には1ミリのダメージも与えられなかった
そうした中で連れられた先は、昼間だというのに薄暗く鬱蒼とした森の中
その奥に開けた空間が広がると、動きがふいに立ち止まる
「わしじゃァ」