生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第19章 お前を許さない
「そういえば」
先ほどから考え込み、通話を聞いていたたしぎが口を開いた
すかさず反応したローとスモーカーの視線が集中する
「少し前に、見かけたんですけど。研究棟の先生方と、学院内の特待生が数人…学院の森の奥に消えてったんです」
「森の奥?あそこはただの訓練場で、何もねェだろ」
「はい。その後訓練時に行ってみたんですが…別に変わりはなかったんですけど」
それが一般の生徒たちなら、不思議になど思わなかっただろうけど
研究棟の生徒はおろか、教師も基本、研究室に篭りきりで姿を見る事があまり無い
その上、特待生たちも各学科ごとに数人しか居らず、もちろん校舎もクラスも違うので纏まって居ることなど有り得なかった
そんな接点など全く無さそうな組み合わせだったからこそ、抱いた疑問
「関係、ないですよね…すみません、お役に立てなくて」
「仕方ないだろ。奴らもそう易々と尻尾は掴ませねェだろうしな」
「…研究棟、特待生…」
「?どうした、ロー」
たしぎの話した内容を、繰り返すように呟いているローにスモーカーが不思議そうに声をかけた
考え込んだ様子に暫く返事は無かったが、窓の外に広がる鬱蒼とした森に視線をやるとローは漸く口を開く
「森へ案内しろ」
「えっ?でも、森には特別変わった様子は」
「目に見えてる部分だけが、真実なのか?」
「どういうことだ」
「まァ、見てろ。"ーROOM"」
ブゥン…と鈍い音とともに、薄い膜を張ったような半円状のサークルが辺りを包み込む
「なッ、これは?!」
「ローの能力だ。奴はオペオペの実の能力者だからな」
「"スキャン"」
森の中までサークルが張られ、範囲内の構造が可視化されると、サークル内に居る3人の目に映し出された
「見ろ、アレだ」
「…あれは、地下通路?」
「奥に何かあるぞ。…ありゃァ部屋か?」
展開が解かれ、辺りはいつも通りの光景に元通り、窓の外に広がる森は相変わらず鬱蒼としている
表面上は何も変わらないその場所には、確かに地下通路と続く先に部屋の存在を確認できた
「優秀な人間をあてがわせるには手っ取り早く特待生を、更にセナの体質を確実に受け継ぐためには多少の遺伝子操作が必要だろう」
「それで研究棟の教師と、特待生の生徒が一緒に居たわけだな」
「一刻も早くセナさんを助けに行きましょう!」
『見つけたぞ!』