生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第19章 お前を許さない
『どうして、海楼の人たちが…』
次から次へと明かされる状況に、セナは内心驚きを隠せなかった
一体誰が、何のためにそのような事をしているのか。考えられる密かな可能性に期待が膨らみそうになるのを、必死に抑え込む
そんなセナの様子を知ってか知らずか、最後まで報告を聞き終えたサカズキの表情は段々と険しくなってゆく
するとおもむろに、茫然としたままのセナの身体を肩に担ぎ上げた
「きゃ…っ!」
「この娘の身柄は、今からわしが預かる」
「そんな!!」
たしぎが反射的にサカズキの腕に縋ろうとするが、それを呆気なく振り払い、くるりと踵を返す
「全員、一刻も早い侵入者全員の捕獲を遂行せぇ。これは命令じゃあ」
そう言い残して、サカズキはセナを担いだままその場を後にした
報告をしていた人間たちは後ろ姿を見送ってすぐ、持ち場に戻るため散り散りとなる
その場に取り残されたのは、呆然と立ち尽くしたたしぎ1人
プルプルプル…
走り回る足音や銃声が取り巻く周囲の喧騒の中、電伝虫が大音量で鳴り響く
既にこの校舎には誰もいない、そこでようやく鳴り響く電伝虫が自分のものだと気付くと慌てて通信ボタンを押した
『オイたしぎ!今何処にいる?!』
ボタンを押したと同時に聞こえたのは、馴染みのある声
「スモーカーさん!何処って、学院ですけど」
『んなこたァ分かってる!場所を教えろ、セナも一緒だな?』
電伝虫越しに、スモーカーの背後からも喧騒が聞こえた
その音が段々とたしぎを取り巻く喧騒と重なり始める
「あの、今何処に」
『何処って、…見つけたぞ』
「え?」
プツリと電伝虫の通信が途切れ、それ以上何も聞こえなくなった
その刹那、たしぎは背後に人の気配を感じ思わず刀を構える
恐る恐る顔だけ振り返れば、そこに居たのは先ほどまで話していた電伝虫越しの人物
「なっ、なんで…スモーカーさんが此処に」
「セナを取り戻しに来ただけだ。詳しい話は移動しながらでいいか」
「えっ、あっ」
背後でモクモクと白煙を燻らせて仁王立ちしていたのはスモーカーだった。その隣には、白いフワフワとした帽子を被って海楼学園の制服を身に纏った男もいた…彼は確か
「あなた…もしかしてトラファルガー・ロー?」
「だったらなんだ。それよりセナは何処にいる」