生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第18章 忍び寄る陰謀
珍しい他校の女子生徒に、色めき立つ群衆
その様子に、声を荒げたのは中心に居たたしぎ
窘めるように周囲を見渡せば、1人2人と男子生徒の顔が綻ぶ
『あ、もちろんたしぎ先輩も可愛いッスよ!』
『たしぎ先輩は俺らのアイドルですから、心配しなくても!!大丈夫ですってェ』
たしぎと視線の合った男子生徒たちはデレデレと表情を緩めて、全てを悟ったかのように親指を立てた
するとたしぎは見当違いな弁明をされて、がっくりと肩を落とす
そして息を大きく吸い込むと、廊下まで響く怒声で周囲を一喝した
「誰も…そんな心配、してませんっ!」
「た、たしぎさん?!」
一喝された周囲だけでなく、隣に居たセナも突然のたしぎの言動に目を丸くする
「皆さん…セナさんはスモーカーさんの生徒さんなんですよ」
『『えっ、スモやんの?!!』』
たしぎが説教よろしくスモーカーの名前を出したところで、浮き足立っていた生徒たちのテンションが一気に下がってしまった
今度はその状況にセナが首を傾げる
「えっ、どうしたんですか」
「ここの皆さんは、私も含めスモーカーさんの後輩になります。あの人はこの学院の出なので」
「そうだったんですね」
"スモやん"との呼び名に親しみは込もっているが、やはり昔から厳しい人だったのだろう
セナの登場にだらしなく顔を緩めていたはずの数人は、今度は何かを思い出したように真っ青になっていた
過去にこっぴどく怒られたりでもしたのか。今にも泣きそうである
『たしぎ先輩!スモやんには内緒で!』
『セナちゃんも!お願い!!』
「分かったのなら言動を慎んで下さいね」
先輩らしく、最後まで釘をさす事を忘れないたしぎに生徒たちは溜息と共に項垂れた
「スモーカー先生には何も言わないので、大丈夫ですよ」
『『セナちゃん…!天使っっ!!』』
もはや悲涙か感涙かは定かではない涙を流す生徒たちに、拝まれているとセナは思わず笑みをこぼす
「ふふ、皆さん面白いですね」
「面白いですか…?確かに悪い方たちでは無いのですが、気が緩むとどうしても…」
たしぎがこめかみを押さえて苦い表情を浮かべれば
その様子に、セナは目を細めて笑みを浮かべる
「たしぎさんが、羨ましいです」
「え?」
「私には、もう誰も居ないから」