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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第18章 忍び寄る陰謀



幼い時、突然居なくなったセナのことを忘れたかったのかもしれない
あれから必死で探した。けれど少ない情報量では、この広い世界に住む1人の人間を探し出すことなど不可能に等しかったのだ

そうして探し出せぬまま中学の頃には本格的に性の芽生えが始まる。居ない存在を悶々と思う日々より、後腐れもなく利害の一致で言い寄ってくる女たちを相手にしていれば、欲が溜まることはない

それでも高校生になって、パタリと爛れた生活を辞めたのは、単なる自身の気まぐれだろうと思っていた
まさか三年生になって、セナと再会するなどとは微塵も思っていなかったのだから

けれど再会してしまえば、感情が、熱が抑えられるはずもなく
目を瞑れば今でも、鮮明に浮かぶのは彼女だけだ

『ロー!』

ローは再び、拳を握り締めた


黙ってしまったローの姿を見て、スミレはその場に崩れ落ちる
流石に慌てたスモーカーとペンギンが慌てて駆け寄った

「なんなの…私、私は」

貴方の瞳には一度も映っていなかった。どんな言い訳をくれたって貴方はいつだってあの子を…

「悔しい…ッ」

別れた後も、中学の頃は度々会っていた。それが高校に入ってピタリとなくなってから、不安で仕方なかったのに…三年生になって、信じられない噂を耳にした時、目の前が真っ暗になった

「私は、特別だと思っていたのに」

ハッキリと答えを得たわけではなかったけれど、愛の言葉を囁き合い、将来を誓ったと確かに信じていた
なんせ他の女よりも頻繁に会っていたスミレは、周りと自分は違うのだと思っていたのに

結局は、スミレも周りと同じ内の1人でしかなかったのだ

「会長…どうします」
「あ?」
「流石に、可哀想じゃありません?」

泣き崩れるスミレの隣で、ペンギンが困り顔を浮かべてローを見上げる
しかしローは肩を竦めて溜息を吐いた

「ペンギン…甘やかすな」
「でも」
「トラファルガー、ちったァ同情も必要だろ。こいつはセナに関する情報を知ってるんじゃねェのか」

スモーカーが煙を吐き出しながら、ローを睨み上げればローはグッと言葉に詰まる

「それに、泣かせたことセナが知ったら…キレるぞ」
「……」

それは考えられる。セナは他人への感情移入が過剰な時があった
例え自分が傷付けられようと、他人が傷付くのは許さないだろう
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