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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第18章 忍び寄る陰謀



ローは低く唸るように呟くと、ググッと拳を握りしめた
爪が食い込み、手のひらに深い痕を残そうとする
それでも構わず、力を込め続けた

その手を後ろから誰かがそっと包み込む
力を緩めさせようとするその指は、か細い女の手だ
振り返るとそこではスミレが、指先に力を込めながらローを覗き込んでいた

「いけません、ロー。自分を傷つけないで」
「…俺に命令するな。死にてェのか」

包み込むようなスミレの手が、まるで纏わりつくようでローは眉間に皺を刻む

「お前…アイツに何か吹き込んだんだな」

スモーカーの話によると、セナは確かにスミレの名を知っていた

「ありのままの、事実を伝えただけですわ」

自分がローの許嫁だと。まぁそれだけでは、ないけれど…
スミレが若干の後ろめたさに視線を逸らした時、首元に衝撃が走った

「ぐっ…!」

息が詰まるのと同時にすぐ目の前に、怒りに満ちたローの顔がある
いつも通りに呼吸ができないことに、スミレは視線を下に落とした
無骨な男の手が、襟元をいわゆる胸倉を握り込んでいる

「なん、で…?」

スミレが中学の頃、知り合ったローはこんな男ではなかったはず
結果的に短い期間ではあったが、スミレが猛アプローチをかけて付き合っていた2人

スミレはローに惚れていたのだが、ローがそうではないのは知っていた
彼はいつも、何処か遠くを見ている気がしていたけれど

それでも良かった、欲を吐き出す存在のためだけでも彼の側に居られるのであれば
彼に愛される女など居ない。ならば平行線のままで、その中で特別扱いが受けられればそれで良かった

「あの子の…どこが」
「…お前には関係ない」
「どうして…ッ!貴方は」

誰も愛さなかったじゃないか。他の女も、私のことも
だから諦められた。それなのに、

「あいつは…セナは特別だ」
「ッ」
「俺がセナに惚れてる。…初めて出会った時からずっと」

拳に込められていた力が緩むと、ローはどこか遠い目をする
その姿で、スミレは全てを悟った

『ずっと…あの子を想っていたの?だから』

愛さなかったのではない
愛する者は既に彼の心の中に決まっていたのだ

「なんなの…」
「あ?」
「なら何故、私や他の女を受け入れたのですか?!」

心に決めた人が居たのなら、それは当然裏切り行為となるはずなのに

「…さァな」
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