生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第18章 忍び寄る陰謀
『中学生の頃、私たち誓い合ったんです』
誰も聞いてはいないのだが、ペラペラと馴れ初めらしきものを話し出したスミレに、その場の全員が対応に困っている雰囲気が取れる
それは余裕でセナやたしぎの方にも丸聞こえだった
「…たしぎさん、ちょっと貸してもらえますか?」
「あ、はい。どうぞ」
「スモーカー先生、聞こえますか」
なるべくスミレには聞かれたくなくて、小声で電伝虫の受話口に話しかける
『あ?セナか』
スモーカーは何となく雰囲気を察知し、声を潜めて応対した
「私は、この学院で楽しくやってます。帰れるか分からないけれど、もう、それでもいいです」
『は?ちょっと待て、今トラファルガーに』
「ローには、私のことはいいから、スミレさんと幸せになってとお伝えください。それじゃあ」
ガチャリ
「…セナさん」
「たしぎさんの電伝虫、勝手に出てごめんなさい」
「そんなのいいんですよ!それより、私は詳しい事情は分かりませんけど、…いいんですか?」
たしぎは、目の前で何かに耐えるように震えているセナにそっと手を重ねた
その瞳にはもう涙は溜まっていないはずなのに、彼女は悲痛な涙を流しているようにたしぎには見える
まるで全てを諦めてしまったかのように、セナの瞳は光を失ってしまっていた
「いいんです、これで。さあ、荷物片付けなきゃ!すみませんが、お手伝いしてくれますか?」
「…はっ、それは勿論です!じゃあ、片付けますか」
何も事情が分からないたしぎには、これ以上言及することは難しい
後で改めてスモーカーに連絡することを頭に入れ、今はセナの側に居ようと決めた
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「オイ、待て…ーー!」
ガタリと立ち上がったスモーカーに、その場の3人の視線が一気に集まる
「クソッ、アイツ切りやがった…!」
「は?切ったって、白猟屋の部下がか?」
「違う。…セナだ」
最後の名前の部分は、隣にいたローにだけ聞こえるようなトーンで呟いた
そしてそのままの声量で、先ほどのセナからの伝言をありのまま伝える
「…どういうことだ」
伝言を聞いたローは、後頭部を鈍器で殴られたような衝撃を受けた気がした
もういい?他の女と幸せに?…それをセナは本心から望んでいるというのか
「ふざけんなよ」