生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第18章 忍び寄る陰謀
元々来るもの拒まず去る者追わずだったらしいローが、海楼学園に入って変わったという
それはもしかして、スミレという人が出来たからなのではないか?
セナが入学したのは今年のことだ。遠い昔に出逢っていたのは確かだけれど、それだけでいきなり心変わりするとは思えない
『…帰りたい』
そう願っていたはずなのに、今は帰る場所さえ分からなくなってしまった
寧ろ帰るのが怖いくらいである…誰が私を待ってくれているのだろう
「で、聞いてるのかな?白石さん!」
「は、はいっ!聞いてます、すみません」
学院生活の概要とか、色々と説明されても頭に入らない
それに第一、セナは本当に交換留学生として呼ばれたのではないことが分かっている
「では、同室の生徒を紹介しよう」
「初めまして!私、寮部屋で同室のたしぎと申します!」
「…白石 セナです。よろしくお願いします」
たしぎと名乗った女生徒は動きやすそうなショートカットにメガネ、腰には刀を携えている
どこか見るからにどんくさそうな雰囲気は漂っているが、悪い人ではない気がした
…何故だかは分からないけれど
「分からないことは何でも聞いてください。クラスも同じなので」
「ありがとうございます、たしぎさん」
にっこりと屈託無く笑ってくれたたしぎに、やはり心がどこか落ち着く気がする
絶望に満ちていた学院生活の中に、ほんのり灯った明かりのような微かなものだが
今のセナには充分な明かりだった
建前だけの大人たちの集団とようやく別れを告げ、たしぎと2人寮へと向かう
どうやらたしぎはセナより一つ上の二年生らしい
「セナさんは、海楼学園の生徒さんなんですよね?」
「はい。今年入学したばかりで、一応生徒会にも入っています」
「それはスゴイですね!あ、それじゃあスモーカーさん、ご存知ですか?」
たしぎの口からやけに聞き慣れた名前が出てきたことに、セナは目を丸くした
「あの学園広いから、まだお会いしてないですかね?」
「いや、あの…私のクラスの担任です」
「えっ?」
「スモーカー先生ですよね?白髪で葉巻吸ってる」
「そうですそうです!こんな所でスモーカーさんの生徒さんに会えるとは!あっ」
話している途中で、たしぎが何かを思い出したように口に手を当てる