生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第18章 忍び寄る陰謀
目を丸くしているセナが呟いた言葉に、スミレは優しく頷いた
「私というものがありながら、ご自身の学園に寵愛する生徒が居ると聞いたときは本当にびっくりしましたわ」
びっくりしたのはこっちだ、とセナは喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ
ローからそんな話など、一切聞いたことはない
「でもセナさんを見て安心しました。こんなに可愛らしい方ですもの、」
「え、いやあの?」
スミレは先ほどまで、敵ではないとか。バカにするようなことを言っていた気がしたのだが、気のせいだろうか
どう返事をしてよいか分からず、狼狽して居るとスミレが一歩セナに間合いを詰め、先ほどまでとは打って変わった氷のような冷たい声でこう問いかけた
「一体どんな色仕掛けで、私のローを虜にしたのかしら?お人形サン」
「…お人形?」
「確かに貴女、マスコットとしては最適だわ。イイ女避けにもなるでしょうしね」
初対面にも関わらず、無遠慮にアレコレと言葉を浴びせるスミレがまた一歩近付き耳元で囁く
「本当に愛されていると思っていたの?可哀想なコ…この学院には色んな男どもが居るわ。せいぜい可愛がってもらいなさい」
トンと、肩を押して再び立っていた位置に戻ったスミレは、出会った当初の華やかな笑みを浮かべ、透き通った声で最後の挨拶をした
「貴女と入れ替わりで交換留学させて頂くの、私なんです。貴女とも一緒に学院生活を送ってみたかったけれど、残念でしたわ。では、またの機会に」
そう言い残すと、颯爽とスカートを翻し、先ほどセナが入ってきた門扉の方へと向かって行った
だが最後の挨拶などセナの耳には届いていない
慌てて校舎まで全速力したときには、既に黄猿以外の大人たちも集まっていたようで、遅れたことにかなりご立腹な様子だった
必死で頭を下げて、どうにか許してもらいはしたがセナは既に何もかもがどうでもよくなっている気がしてくる
スミレの言葉を全て鵜呑みにするには、信憑性にイマイチかけるのだが
彼女が嘘ばかりを並べているわけではない気もした
ローに会って真実を確かめたいが、そんなことが叶うはずもなく、さらには既にその隣にはスミレも居ることだろう
『スミレが俺の許嫁だ。お前とは遊びだった』
そんなことを言われてしまったら、自分はどうすればいい?