生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第18章 忍び寄る陰謀
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海の正義国家学院内
黄猿に横抱きにされたまま連れてこられたセナは、海楼学園よりもそびえ立つ巨大な門扉に口をあんぐりさせる
その重厚な門扉が耳障りな音を立てて開閉した後、セナは漸く地に足を着けることができた
まだふわふわと、浮き足立ったような感覚で上手く歩けない
「ハイハイ、こっちねェ〜ついて来てよォ」
敷地内はかなり広く、少し先を行く黄猿の目指す方向には薄っすらと校舎の影が見えるだけ
キョロキョロと見回せば周りにはセーラー服を着た屈強な男子生徒、たまに女子生徒も混ざっており
みな一様に歩き出した黄猿を挟んで敬礼している
それがどうやら校舎まで続いているようだから驚きだ
セナは慌てて黄猿の後を追うしかなかった。ここまでどうやって連れてこられたのかも定かではない
小走りで黄猿の後を追いかけていると何やらヒソヒソと生徒同士の話し声が聞こえるが、多分セナにとって良いものではないだろうから、気にしないようにする
すると突然一人の生徒が、通路にセナの前に立ちはだかった
他の生徒と同様ピシッとセーラー服を着てはいるが、制服では隠しきれない身体のラインのグラマラスさが滲み出ている
「?あの、」
「貴女が…白石 セナさん?」
「は、い…そうですけど」
透き通った声で、そう問いかけられた。美人の威圧感というものか、セナは恐る恐る返事を返すことしかできない
すると猫のように少しだけつり上がった大きな瞳が、柔らかく細められた
口元に飾られているどこかエロスを感じさせる笑いホクロに指を当てて、ニコリと唇が笑みをかたどる
「私の敵じゃないわ」
「…は?」
一体いきなりなんだというのか、セナはほんの少し怒りを覚えて強い口調で聞き返す
すると少し癖のある長い黒髪を翻すと、女生徒は柔らかい笑みを浮かべたまま口を開く
「申し遅れました。私この学院の総生徒会長を務めさせて頂いております。花京院 スミレと申します」
「はぁ…どうも」
「そして私、トラファルガー・ローさんの許嫁ですの」
「はぁ…そうなんで………今なんと仰いました?」
いきなり演説のように自己紹介を始めたスミレを、適当に流そうとした矢先、聞き捨てならない言葉が聞こえた気がして思わず聞き返す
「ローの、許嫁?」