生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第18章 忍び寄る陰謀
中毒症を発症していないセナの特異体質が引き継がれれば、また再び珀鉛にまつわる産業が活発になるだろう
そうすれば、自然と懐が潤うのは政府の人間どもだ
その為に、様々な男どもとセナを
「そんなこと、させるわけねェだろ」
彼女に触れていいのは自分だけだ
それに例えどんな形であれ、セナの細胞、遺伝子一つでさえも政府にくれてやるわけにはいかない
髪の毛一本から爪のかけらまで全て
「セナは俺のモンなんだよ」
「トラ男?」
苦しげに吐き出された言葉に、チョッパーが不思議そうに首を傾げた
が、次の瞬間気迫のようなビリビリとした覇気の片鱗が伝わって、チョッパーは泣きそうになりルフィの後ろに隠れる
ルフィは後ろ手にチョッパーの背中をトントンとあやしてやり、俯くローを見据えた
「そうだよ。セナはトラ男モンだ。俺もそうじゃなきゃ許さねェ」
細かいやり取りまでは話していなかったはずなのに、全てを把握しきったような顔でルフィは強く頷き手を差し出した
「麦わら屋、お前…」
「だから、取り返しに行こう。セナが待ってる」
ルフィの瞳は決して揺るがない。差し出された手は、答えをただじっと待っていた
『セナが、待ってる』
きっと誰よりも現状に恐怖を感じているのはセナ自身のはず
けれどローや仲間がこれ以上危険な目に遭わない為に、彼女はいつも強がって下手な嘘を吐くはずだ
『そう、下手なんだ…アイツの嘘は』
本当は怖くて堪らなくて助けに来て欲しいのに、泣き声一つ上げられない彼女
見ているこっちには本心が丸わかりなのに、それでも彼女は必死に嘘を吐く…自分自身に言い聞かせる為に
「何も分かってねェな、あの女」
「んん?」
ローがセナを"あの女"呼ばわりなどしたのは初めてだ
一体この短時間にどんな心境の変化があったのかと、ルフィも思わず首を傾げてしまう
「取り戻したら、徹底的に教え込まねェとなァ」
「お、おお?」
「悪い、麦わら屋」
一人でぼそりぼそりと吐き出すローの中で、沸々と湧いた怒りの矛先はセナに向かっているようだ
ローはまっすぐルフィを見上げる
「危険な目に遭うだろうが、力を貸してくれ」
頭を下げることなどしない、その代わりに差し出された手を漸く握り返した