生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第18章 忍び寄る陰謀
「セナが猿に攫われたァ?!」
「猿じゃねェ、黄猿だ。麦わら屋も会ったことあっただろう」
「ん〜覚えてねェけど、そいつはなんでセナを連れてっちまったんだ?」
簡潔にまとめてしまおうと伝えた矢先に、このルフィの反応だった
これでは話が長くなると、ローが言葉を渋っていると
新たな包帯を巻かれているローの隣に、椅子を引っ張り出したルフィは、全てを話すようローに促した
ローは観念したように、セナの交換留学をドフラミンゴが仕組んだこと、1-Cの教室であった騒ぎ、シャチの怪我、そしてセナが連れ去られた理由を全て順を追って話す
果たして、ルフィがどこまで理解できるかはさて置いてだが
「クッソォ、ミンゴのやつ…!」
「落ち着け麦わら屋。奴を今どうにかしたところで、セナは戻って来れない」
やはり怒るところはそこかと、ローは内心溜息を吐いた
ルフィは元よりあまり人の話を聞いていない節がある。ガッと頭に血が上ってしまえば、それだけで十分な怒りの原因なのだ
確かにローだって、今回のことを仕組んだドフラミンゴにはどうしたって腹が立つ
しかし今はドフラミンゴをどうこうしたところで、セナは既に政府の手の内に渡ってしまった
まずはセナを取り戻すことが先決だと判断している
「じゃあそのなんとかに乗り込もう!セナを助けに」
「バカ、落ち着け。敵地のど真ん中だぞ、易々と入れるわけねェだろうが」
「あーもー!じゃあどうすんだ?!」
「それは、」
先ほどまでのローも実は、ルフィと同じことを考えていた
どんなに無謀でも敵地に乗り込み、力ずくでもセナを奪い返す
しかしそれは、本当に夢のような無謀な話だ
それにセナを人質に取られているようなものだ、自分自身が彼女の命と引き換えにむやみやたらと動けないのは分かりきっている
「チッ…早くしねェと」
どんなに頭を捻っても、状況を打開できるほどの名案は浮かばない
けれど、時は刻一刻と迫っているのだ
政府は、セナの中にある"珀鉛"を狙っている。彼女の体内に潜むそれは、心臓部にあるため無茶をすればあっという間に命を落とすだろう
それに
『優秀な野郎共をあてがい、その特殊な体質を引き継ぐ人間を量産すりゃァ…』
憎らしい男の声が脳内に響き渡る