生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第18章 忍び寄る陰謀
どうにか逃げようと身をよじって足掻けば、反射的にローが手を伸ばした
すぐそこに居るのに、手を伸ばせば届くはずなのに
もう、身体は既に動かない
この感覚を、セナは知っている。マリオネットのように、全身を絡めとられた感覚を
「なん、で…私、」
「クソ…、セナを離せ、ドフラミンゴ!」
「ククッ」
鬼哭を構えたローの前に立ちはだかったのは、ドフラミンゴではなくセナ
その手にはいつの間にか、力なく小刀が握られている
「大事な"商品"をこれ以上傷付けられちゃァこまるんだがなァ。例えセナがこのまま正気だろうが狂っちまおうが、これは決定事項なんだよ。残念だったなァ、ロー」
「貴様…!」
「さァ、愛しい彼女の手で…テメェは死ぬんだよ」
「や…嫌…やめて、やめて…ッ!!」
どれだけ足掻こうと、身体は自由に動いてくれない
涙を流そうと、喚き散らそうと勝手に動く身体を制御できない
ゆっくりと小刀を構えた腕は前に突き出され、ローの心臓を狙う
気付けばローは操られた他の学生の手によって、押さえ付けられていた
「やだっ、ロー!逃げて…やだぁっ!」
「ッ…セナ…泣くな」
「フハハハ!別れの挨拶は…もう終わりだ!!」
手に手を添えて固定し、一直線にローを目掛けて刃を突き立てる
ローは真っ直ぐとセナを見つめていた
セナは耐えきれず、目を瞑ってしまう
グサリ
人を刺す感覚なんて、知りたくなかった
ましてや、愛する人を…
「テメェ、何して…!」
ローの声が聞こえた。その声は特に乱れてはいない
それより何故か怒っているようにも聞こえる
セナは恐る恐る目を開ける。その視界に飛び込んできたのは想像していた悲劇とは遥かに違う…けれど
「はは…会長を、殺されちゃ困るんスよ」
目の前で小刀の刺さった背から血を流していたのは、ローではなく…幼馴染である
「シャチ!どうして…っ!」
「あーあ、もうちっと…カッコよく、死にたかった、なぁ」
シャチがドサリと、ローにもたれ掛かるように崩れ落ちたと同時に教室のドアが勢いよく開いた
「オイ…こりゃァ、どういう状況か説明しろ」
セナのクラス担任であるスモーカーが、廊下の生徒たちに呼ばれて来たらしい
白煙越しにドフラミンゴを睨みつけ、目下の状況を問う