生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第18章 忍び寄る陰謀
「私自身が商品って、どういうことですか?私は能力者でもないし、特に何かに秀でてるわけでも」
「あァ…確かにそうだな。だが、お前は十分イイ"実験体"になる、それこそがお前の最大の価値だ」
見上げる視線に合わせるように、首を傾けていつものニヒルな笑みを浮かべるドフラミンゴは、やはり何を考えているのか分からない
平凡を絵に描いたような自分が、どんな実験体になりうるというのか
「分からねェって顔だな?なら教えてやろう。ガキの頃から珀鉛を体内に蓄積させながら、今現在まで珀鉛病を発症していない。それだけお前の身体には珀鉛に対しての抗う"何か"が潜んでいる可能性がある…それを政府は欲しがっている」
「…欲しがって、いる?」
サングラスのフレームが、朝日の差し込む教室で鈍く光を放った
「正確には、セナの体質を引き継ぐガキども欲しがっている。優秀な野郎共をあてがい、その特殊な体質を引き継ぐ人間を量産すりゃァ…中毒死することもなく、永遠に再び珀鉛を掘らせることができる」
「ッ…」
「金と権力に目のくらんだ、政府らしい目的だろうなァ」
全てを聞き終えると、セナは口元を覆ったまま静かに涙を流す
カチカチと歯の根が噛み合わずに耳障りな音を立て、ガクガクと全身の震えが止まないでいた
『人を、私の子供を量産…?』
『優秀な、男をあてがう…?』
その言葉たちの意味が、分からぬほどセナも子供ではない
しかし、だからこそ脳内でドフラミンゴに言われた言葉がグルグルと回り続け気を失ってしまいそうだった
寧ろ、早くに気を失ってしまえば、どれほど幸せだっただろうか
「お前は国の役に立つ…なァ、喜ばしいじゃァねェか…セナ」
「役に…?」
両親を、ローの家族を、ロー自身を傷付け続けた
そして未だ自らの体内でいつ牙を剥くかも分からぬ珀鉛という悪魔
ローの故郷は、フレバンスという街は、身勝手な政府の人間たちの手によって、この世界から消された
その悲劇を、なんとも思っていないのだろうか
中毒死しない人間が働けば済む話ではない、街は様々な人々の出入りがあってこそ成り立つ
そうなれば必ず、悲劇は再び訪れるのだ
ちっぽけな自分自身は、ただ国の、政府のいいように使われ
結局は何の役にも立たないのが目に見えている
「ッ…離して…!」
「セナ!!」