生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第18章 忍び寄る陰謀
「え、ローも知らなかったの…じゃあ」
てっきり自分の耳に入ってなかっただけだろうと思っていたけど、そうでもなかったようだ
予想外の事実にセナは不安げに瞳を揺らす
「こんなふざけた内容考える奴なんざ、1人しか居ねェよ」
金と権力のためなら、自らの学園の生徒でさえ売り渡すような、冷酷非道な男
そしてその男が一度、ローに敗北をしている屈辱を忘れるはずがない
「会長!まさかこれ…ドフラミンゴが?!」
「ああ、そのまさかだ。あの野郎…セナの中の"アレ"を、政府に売り渡すつもりなんだろ」
セナの中の"アレ"とは、幼い頃その体内に蓄積された珀鉛という鉱物の一種
体内に一定量蓄積されてしまうと、中毒症を発症する別名"白い悪魔"
幼い頃、珀鉛での産業でさかんだったローの故郷フレバンスの街に、短い期間だったがセナも住んでいたことがあったため
その体内に珀鉛を蓄積されているのだが、不思議なことに彼女は現在まで珀鉛病を発症していないのだった
カツ…
「何も珀鉛だけを売り渡すんじゃねェぜ?"商品"は、セナそのものだ」
何者かの大きな手に目元を塞がれ、セナは視界が一瞬暗くなったかと思えば
聞き覚えのある声が、頭上から降ってきた
噂をすればなんとやら、声の持ち主はこの学園の学園長である男
「「ドフラミンゴ…!」」
視界を覆っていた手が解放されたと同時に、その手は腰に回り込んだ
するとポフンッとピンク色のファーに頭が埋もれる形で、ドフラミンゴに引き寄せられたセナ
「学園長のオレサマが、直々に迎えに来てやったんだ…有り難く思えよ。なァ、セナ」
「ッチ…セナから離れろ、クソが…!」
「誰に向かって口を利いてやがる、この学園にいる限り…ガキは俺に勝てねェ」
鼻を鳴らし言い切るとわざとらしくセナの顔に顔を近付け、見せつけるようにその頰をひと舐めする
その様子にローはさらに激昂し、愛刀を構えた
「ちょ、ちょっと待って」
ただ茫然としているだけだったセナは、我に返ったように声を上げる
「セナ、止めるな」
「待って、ロー。一つ聞きたいことがあるの」
身体を密着させるように抱き寄せられているため、まっすぐと見上げた
相変わらずサングラス越しの表情は読めない