生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
ゴムそのものの原理に従って、パチンッと小気味良い音がすると
麦わらの頰は元の通りにマヌケ面におさまった
すると、俺の腕に添えられていたセナの手が、今度は麦わらの先ほどまで伸びていた頰を優しく撫でる
「本当に、痛くないの?」
「おう、大丈夫だって。セナは心配性だなァ」
「だって…普通痛いでしょ、あんなの」
心底心配そうに、麦わらの頰を撫でるセナ
相変わらず俺の顔は麦わらに引き寄せられたままだったため、すぐ側で添えられていた小さな手をただただ見つめていると
反対側から地を這うような怒りを孕んだ声が聞こえてきた
「てめェら…いつまで馴れ合ってるつもりだ」
「?!」
「俺の目の前で他の野郎に触るとは、いい度胸だな?セナ」
麦わらの腕の中から抜け出したトラファルガーが、無造作にセナの細い手首を掴み上げる
「痛い…ッ」
「何度言えば分かる?徹底的に身体に教え込めばいいのか?」
「なんでそんな…」
「なんで?…ハッ、なんでだろうな」
突き放すように手を離して、トラファルガーにしては珍しく自嘲気味に笑っている
その表情に、本人より傷ついた表情をしているのはセナなんだが
こいつらは、どうしてこうも不器用なのか…
言葉足らずのトラファルガーがセナに執着しすぎて、束縛にも似たことをするから悪いんじゃねェのか
ほんの数日前なら、こんな風に俺は徹底的にセナの味方であり、まァそれは今も変わらないけど
それでもトラファルガーの気持ちなんて、知る気も無かったし、知りたくも無かったんだが
ただ今なら、トラファルガーの気持ちも痛いほど分かる
セナは男心に鈍過ぎる…特に自分に好意を寄せる男の心が
俺はその鈍さに救われたところがあるが、恋人であるトラファルガーはヤキモキするばかりだろう
本当に世話の焼ける…
「あーもー、てめェらのせいでメシが不味くなんだろうが」
「サンジのメシは美味いに決まってんだろ!何言ってんだ!!」
「テメェは出て来んなややこしい」
不穏な空気を仲裁しようとして出た言葉に、いち早く反応してきた麦わらは押さえ込みつつ
いきなり俺に声を掛けられた2人は不思議そうにこちらを見ている
「キッド、どうしたの?」
「嫌いな食いモンでも入ってたのか」
「違うわアホ!!」