生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
「誰が親だ…バラすぞ」
「あーそうかい。そりゃ悪かったな」
すんなりと謝ってみたら、技を構えかけていたトラファルガーが意表を突かれたように、少しだけ瞳を見開いた
恋人として、セナの一番は紛れもなくこの男だ
しかし親友として、俺はこの男に勝っている自負がある
もとより分け隔てなく接するセナのことだ
それぞれの存在に、差なんてもんはあってないようなものだろう
セナの前においては
優劣など感じる必要などない…1人ひとりが特別な存在として彼女の中に君臨しているのだから
そのことに今回の件で気付いたのは、俺だけではないはず
「よし!万事解決したな!」
大声を上げて場の空気を一瞬にして変えたのは、麦わらのルフィ
人懐こい笑みを浮かべて全員の顔を見渡している
スゥと息を吸い込み、次に口を吐いた言葉は思いがけない…しかしこの男らしいセリフ
「メシだ〜〜〜!!!」
どうやら、話がひと段落するまでお預け食らってたんだろ
目を輝かせて、机に山ほどある重箱を守っていた黒足に襲いかかっている
「サンジィ〜〜!もういいだろ!メシ食おう!」
「へーへー、お前にしちゃァよく耐えたな。けど、まずはレディたちからだ」
「またかよ!」
「当たり前だろォが!!」
黒足はシッシッと麦わらを追い払い、いそいそと一番豪華そうな五段重を女どもの集まる席に並べ広げた
そういや噂に聞いたことがあるが、アイツは無類の女好きだったか
「セナちゃんも席にどうぞ」
甲斐甲斐しく頭を下げてから、セナの座る椅子を引いて待っている
その表情は、先ほどトラファルガーに向けていたものとは打って変わって、デレデレとだらしない
「ローと、キッドはそっちに座れ」
「俺に指図をするな」
「なんで俺まで」
「あのな、大事なレディたちとテメェらを一緒に出来るわけねェだろ…っつーか、ローは早くセナちゃんを解放しろよ」
先ほどからセナがどうにか腕の中から抜け出そうとしているけど、トラファルガーは一向に手放す気がないらしい
…やっぱりこいつがセナに一番甘いんだろうなァ
「オイ、まだかよ」
「トラ男〜早くしろよー!」
「会長ー昼休憩終わっちまいますよ」
「ほらユースタスもこっちだぞ」
外野が空腹に拍車をかけられて、不満爆発の寸前らしい