生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
目を瞬かせ、ふと周囲を見渡せば
取り巻く連中みんなが、困ったように眉を下げつつも、穏やかに笑みを浮かべていた
「なんなんだよ…」
例え何を言われようと、前回のように引き下がるつもりでは勿論無かった
けれど、どうしたってこいつらにまで受け入れられようとは…考えられなかった
「ユースタス屋」
「…なんだよ」
「言っておくが、こいつらは全員セナに甘い」
「「いやお前が言うなよッ」」
唐突に口を開いたトラファルガーに続く言葉に、いち早く長鼻の男や、緑頭の剣士がツッコミを入れる
しかしそんなツッコミを完全に無視して、ヤツは言葉を続けた
「そこでだ。テメェを憎み続けることより、そうすることでセナが傷付くことの方が許せないそうだ」
「まァそれも、ローを筆頭にな」
「おい」
いつの間に立っていた金髪に黒服のぐるぐる眉毛が、トラファルガーの肩に手を置くとやれやれと肩を竦める
トラファルガーは至極迷惑そうに眉をひそめていた
そんな光景を、どこか状況についていけていない頭で見つめていると
ちょんちょんと肩に何かが触れて、ついとそちらを振り向く
肩に触れていたのは、細っこい指先で
視線を上げれば大きな黒い瞳がこちらを覗き込んでいた
「どうした」
「迷惑、だった?」
こてんと首を傾げて、不安そうに唇を噛み締めながら伺うように問うてくる
ボーッとしていた様子が、どうやら迷惑そうに閉口していると勘違いしたらしい
セナのことだ、仲間たちを説得するのにだいぶ奔走していたんだろう
わざわざ俺なんかの居やすいようになんて、バカみたいに頑張る姿を想像して…笑みが溢れた
栗色の前髪が揺れる額を、軽く小突いてくしゃりと頭を撫でる
「バァカ」
「…むぅ」
「迷惑だったら、とっくに帰ってんだろ」
こうなることなど、予測は出来なかったが
どんな結果になろうと、セナの側を離れるつもりはなかった
ただ俺を選び、俺を許したセナへの償いは
こいつの望む親友として、こいつの側で支え続けることだ
「いちいち触ってんじゃねェ」
「アァ?うるせェな…テメェは親父か」
髪に触れていた手を払われ、セナと少しの距離ができる
トラファルガーが腕の中に囲い込んでしまったから
少し前の俺なら…そりゃァ躍起になって食ってかかってたんだろーが…