生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
そして何より、セナの真剣な告白に嬉しくなっちまってる自分がいる
全身の熱が、顔面に一気集中している気がして居た堪れない
きっと細っこい腕の中に抱かれているから、顔が熱いんだと…誰にでもなく言い訳をしてみる
「お前なァ…」
「へ?な、なに…」
俺の地を這うような声音に、ビビって思わず距離を置こうとする身体
腰に腕を回して固定すると、逃れられないことを悟ったのか大人しくなった
「責任とれよ」
「責任?」
「お前が俺を離さなかったんだからな」
胸元から睨み上げると、一瞬きょとんとしていた顔が
理解したのかすぐさま満面の笑みに変わる
「もちろん!ありがとう、キッド」
嬉しそうに笑う顔が眩しくて、まだ熱の引かない顔面を見られるのが嫌で、しれっと目線を逸らすとボソリと呟いた
「…礼を言うのはこっちだっての」
「ん?」
「なんでもねェよ」
腰に手を添えたまま、ガシガシと頭を撫でると話を誤魔化しておく
ドゲシッ
「い、ッ?!」
「いつまでそうしているつもりだ、ユースタス屋。いい加減離れろ」
何処に隠れていたのか、いつの間に背後に現れていたトラファルガーが、思い切り俺の頭を足蹴にしてやがる
「ロー!何してるの!」
「お前こそ、易々と触られてんじゃねェ」
「そんな話は関係ないでしょ!キッドから足下ろして」
俺の腕の中でセナがトラファルガーを睨みつけると、渋々頭から重さが離れてゆく
「ごめんね、キッド。痛かったでしょう」
「…チッ」
「あー、まァ…気にすんな」
足蹴にされたことはかなりムカつくんだが、トラファルガーより優先されたことに俺の気持ちは少し…いや、かなり軽やかになる
思わずトラファルガーに同情してやるくらいには
「それで、話は済んだのか」
「あ、うん。無事に仲直りしましたっ!」
俺との仲が戻ったことを、至極嬉しそうに報告するセナにトラファルガーの表情がみるみる曇ってゆく
そして重苦しく長い溜息が吐き出された
「そうか」
溜息とともに吐き出されたのは、たったそれだけ…
多分ヤツなりに渦巻く嫉妬を抑えつけ、セナを悲しませないよう譲歩した結果の言葉なんだろうが
「ククッ」
「何がおかしい」
「いや…テメェも大変だなァ、トラファルガー」
「??」
いきなり笑い出した俺に、2人分の視線が刺さる