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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第17章 優越感と劣等感【キッド夢】



顔を上げて、こちらを見つめる瞳には強い意思が宿っている

「初めて会った時から、キッド…寂しそうだった」
「俺が…寂しそうだと?」

一度だってそんなことを考えたことはない
教師から疎まれようが、つるむ生徒が居なかろうが
俺は寂しいなんて感じたこともなかった

「お前、頭大丈夫か?」
「なっ!大丈夫だし!…キッドは自覚が無いかもしれないけど、キラーさんも言ってたよ?」

キラーの野郎、よくもまぁ…後でシメてやるからな
とりあえず今、俺の相手は目の前のセナだ

「俺は別に、寂しくなんざねェよ」

だからセナに手を差し伸べてもらう理由など、ない

「あんまり俺に関わんじゃねェ。お前が傷付くだけだ」

俺に関わることで、お前が傷付いた顔をするのは…もうたくさんだ


ふわりと気配が近づいて来たかと思えば、いつの間にか握りしめていた拳に小さな手が重ねられた

「キッドは、優しいね」
「…はァ?」
「私が傷付かないように、距離を置こうとしてるんでしょ」
「……」
「でも、私が一番傷付くのは…大事な親友が離れていくことだよ」

ギュッと重ねた手に力が込められ、ようやく顔を上げるとそこには泣きそうに歪んだ表情のセナ
必死に涙を堪えて、無理矢理笑おうとしている

ああ、また俺は…


「お前を傷付けることしかできねェ…」

手を振りほどいてガバリとしゃがみ込むと、片手で顔面を覆った


だから俺は、こうしてセナを傷付けることが怖くて
いつかセナの方から離れていくのが寂しいから

自分勝手で一方的にお前を傷付けて、それなのに

「ッ…」
「私のわがままで…ごめん」

優しく後頭部に何かが触れたかと思えば、どうやらセナに抱き締められているようで


こんな俺を、お前はどうしてまだ…受け入れようとする?

俺1人欠けたところで、お前には仲間やトラファルガーが居るだろう

「私には、みんなや…ローも側に居てくれるよ」
「ッ」

心の中を、見透かされたのかと思った
抱き締められたまま、聴こえる鼓動は早鐘を打っている
きっと俺も同じように

「それでも、私はキッドに側に居てほしい。私が居なくなって寂しそうなあなたを、もう見たくない」
「…セナ」

それは自惚れすぎだろとか…自分勝手な女だとか
言いたいことは脳裏に浮かぶのに
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