生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
「いや、充分バカだろ」
「それを言うならキッドだって!」
「ならやっぱり、俺たち似た者同士だな」
ニィッと笑って、先ほどのお返しとばかりに髪をぐしゃぐしゃに撫でてやる
少しだけ赤くなったセナが、不服そうに頰を膨らませたまま睨んでくるが痛くも痒くもねェ
「嬉しくない共通点ね」
皮肉を込めたように、口を開いたがただの照れ隠しにしか聞こえなくて喉の奥で密かに笑いを漏らした
笑いに気付いてか気付かずか、ふと真顔に戻ったセナが困ったように眉を下げてこちらを伺う
「あ、その…この間」
「?ああ…別に、あいつらの怒りはもっともだろ。寧ろ俺も聞きたいと思ってた」
「?なに?」
「なんであの後、俺を親友にしたんだ」
今でも脳裏に蘇るのは、怯えた表情で涙を流すセナの姿
そしてその震える身体を庇うように、怒りを露わにしたトラファルガー
いったい誰が、こんな状況になるなんて思い付くだろうか
「なんで…だと思う?」
「俺が聞いてるんだがなァ」
「…そうね。キッドが私にしたことを後悔していたから、かな」
「……」
「だからあの時、避けなかったんだよね。ローの能力を」
地を蹴ったトラファルガーが構えると同時に、俺を覆った半円状のドーム
俺はこいつの能力を知っていた。だから避けようと思えば、いくらでも…ただそれをしなかったのは
無意識に、セナに対する贖罪のつもりだったのだと思う
後悔なんざしたって、取り返しはつかない
犯した罪は、身をもって償うことしかできない
しかし
「お人好しにもほどがあるんじゃねェのか」
身体に心に深く受けた傷を、すぐに赦すことなど人は出来るのだろうか
「お人好し?自分の罪を悔やんでいる人を受け入れることが?」
「テメェは被害者だろうが」
それこそ第二の被害者であるトラファルガーは未だに俺を憎んで目の敵にしている
きっと三日前に知った連中も、大事な仲間のために俺を憎むだろう
「今さらお前からの同情なんざいらねェよ」
隣にいれば居るほど、俺は惨めになるだけだ
ちらりとセナを見遣れば、眉間にしわを寄せて難しい顔をしている
その表情から、感情を読み取ることができない
「同情じゃない」
聞こえた声は震えていた
「私が、キッドと親友になりたかったって…それは理由にならないかな?」