生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
「キッドも変な顔してる!」
仕返しとばかり、覗き込んできてはヘニャリと笑いながらからかうように言ってくる
「うるせェ…お互い様だろォが」
「そうだね。私たち似た者同士なのかな?」
俺とセナが似ている…?そんなこと考えたこともなかった
つーか絶対似てねェだろ、微塵も似てるところを見出せねェ
「似てるワケねェだろ」
「そうかな?」
「どこが似てると思ったんだ」
「うーん…」
俺の問いかけに、セナは腕を組んで真剣に首を傾げる
ほら、無いんだろ。それでいいじゃねェか
「キッドと私の似てるところ…」
「や、もう無いなら「あっ、甘い物好きなところ!」
これだ!とばかりに瞳を輝かせ、行き着いた答えを自信満々に言い切った
その姿は非常に愛らしいけど、そんなに息巻くことか?そもそも俺は甘い物はあまり………あァ
「日曜日、連れてってくれるんでしょ?スイーツラリー」
誘ったのはあくまでも校外で2人きりになる口実と、トラファルガーへの当て付けだったんだけどな
コイツそんなに楽しみにしてやがったのか…この約束を
俺との、約束を
「キッド?」
何も言わない俺を不思議に思ったのか、再び宝石のような瞳が此方を覗き込んでくる
キラキラと輝く黒曜石の中、なんとも複雑な顔をした俺が映っていた
「どうしたの?私なんか変なこと…」
「いや、お前は何もしてねェよ。それより…悪かった」
細い肩を掴んで少し距離を置き、ガバリと頭を下げる
こんなん格好つかねェとは分かってるが、この恥がテメェの戒めだ
すると頭にそっと何かが触れる。どうやら頭を撫でられているようだった
顔を上げると、優しく微笑んでこちらを見つめるセナと目が合う
まるで全てを悟っているように、そして全てを赦すような慈愛に満ちた笑顔にドクリと心臓が高鳴った
不覚にも、顔面の血液が沸騰しそうなくらい熱くなっているのが分かる
「ありがとう」
「はァ?」
「親友になってくれて、ありがとう」
フワリと笑ったセナは、照れ臭そうにはにかむと俺の手を取り両手でギュッと力を込めた
「私を、受け入れてくれて…ありがとう」
「…それは」
「?」
「俺のセリフだ、バァカ」
空いている手で、コツンと額を小突くときょとんと此方を見返してくる
そしてすぐに柔らかそうな頰が膨らんだ
「バカとは失礼な!」