生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第5章 自己紹介はマニアックなくらいがいい
シャチに耳打ちされた内容は、イマイチ理解し難かった
『会長の名前呼んでやれって!あとついでにタメ口ならなお良し!』
目の前で静かに怒っている人に、そんな事したら逆に怒られない?私年下なんだし
後ろに隠れる幼馴染たちは、早くしろと言わんばかりに背中を叩いてくる
ゆっくりと近付いてくるロー会長、じゃなかったローが怒りを孕ませた瞳でこちらを睨んでくるものだから流石の私も萎縮してしまうけど、なんとか対峙して怒りを収めようとしてみる
あれ、なんだか更に怒ってない?…というか、拗ねてるみたい
心なしか唇はムウッと噤まれてるように見えるし、なんだか拗ねた子どもみたい…そこまで思い至って、謎が解けた
私が名前をすんなり呼ばなかった上に、譲歩しろなんて言ったものだから気に食わなかったわけか
更にルフィのこと、すんなり呼んだのが火に油を注いだってこと
なんで初対面なのに、こんなに好かれたのか分からないけど…目の前で拗ねきった強引すぎる会長サマには、シャチの言う通りにするのが効果的なようね
けれど、ルフィのようにはいかない。すんなりとなんて、呼べないし話せない
ああ、私…恋してるんだ、ローに
自覚をしてしまえばストンと心に馴染んで、じわじわと熱が広がっていく
きっと顔が真っ赤なまま、敬語をなくして名前を呼んでみたら不意を突かれたように、ローの目が少し見開かれる…そして笑われた
その笑った顔が、あまりにも綺麗で胸が高鳴る…多分言ったら怒られそうだけれど
命令するような言葉でさえ、愛を感じずにはいられない
恥ずかしくて死ねるくらいの甘い言葉も、心地よい束縛に変わるの
「さァて、話は済んだかお二人さん」
「?!」
「コラさん来てたのか」
いつのまにか、私たちの傍らにしゃがみ込んだ男の人が嬉しそうにこちらを見上げていた
ピエロみたいなお化粧?して、派手なシャツに黒のフェザーコートを羽織ってる
変わった帽子を被っている隙間から見えるのは綺麗な金髪
この人は、誰?
「いやァ、ローにもようやく春がきたんだな!ガキのくせに!」
「ガキは余計だろ!頭を撫でんじゃねェ!」
「ええっと、ロー…この人は?」
ローの頭を帽子ごとグリグリと撫で回していた男の人は、瞳を輝かせて此方を向くと突進してきた
「セナちゃん、だな?」
「は、い?」
「ローの奴め、可愛子ちゃん捕まえやがって!」