生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
頑固だろうがなんだろうが、ンなこと知るかよ
俺は親友の縁を切ったんだっての…セナから逃げたんだからな
「今更だと、それをセナが責めると思うのか」
「思…わねェけど、ってなんでテメェそんなに親しげなんだァ?!」
つい先ほどが初対面だったはずのキラーが、やけにセナの肩を持つのが無性にイラつく
お前にセナの何が分かるってんだ
「お前が親友に戻らないというのなら。俺が親友になっても文句はないな?」
瞬間、カッと頭に血が昇ってキラーの胸倉を掴みあげる
悲しいかな、長い付き合いの俺でもこいつの仮面の下の表情が読み取れないときがあった
「テメェ…本気で言ってんのか」
「キッドこそ。セナが親友に選んだのは誰だ?そんな生半可な気持ちでずっと隣にいたのか」
「うるせェ…!」
俺が選んだのは、俺を選んだのはセナだ。他の誰でもない
生半可な気持ちだと?ふざけんな…俺は、俺はッ
「さっさとしないと、セナはトラファルガーと帰ってしまうぞ」
「!…チッ」
机に投げ出していたスマホを引っ掴んで、三日ぶりに短い言葉を返した
片づけていた書類もそのままに、鞄を引っ掴むと教室を慌ただしく飛び出す
広すぎる校内で、長い道のりを歩く中冷静になった頭で
セナが居るであろう生徒会室に向かいながら
先ほどのやり取りは、キラーにけしかけられていたんだと気付いた
我ながら情けねェ…そしてキラーには全部お見通しという訳か
「…お節介め」
素直にヤツの思惑通り動いたことがなんだか恥ずかしくて、思わず立ち止まり低く唸った
するとすぐ側の扉が勢いよく開いて、突然のことに一瞬身構える
「あっ、キッド」
「…よォ」
中から出てきたのはセナで、俺がいるとは思わなかったのか目をまん丸にしてぽかんと口を開けていた
その顔があまりにも間抜けで、沈黙を破ったのは俺の笑い声
「ックク…なんつー顔してんだァ?鏡見せてやろうか」
「笑わないでよ!いらないし!」
「相変わらず間抜けな女だな、セナ」
「!久々に会って言うことがそれ?!」
セナは何気なく言ったのだろうが、俺は目を見開いた
久々といっても会わなかったのはたった3日間のこと。俺は長いと感じた時間、それをセナも同じように感じていたってのか?