生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
こういうときばかりは、意外と真面目な自分の性格を呪う
ひとまず書類の処理だけは終わらせておこうと残ってたのが幸か不幸か
ケツポケットに入れていた携帯が珍しく振動した
滅多に通知など入らないスマートフォンに、メッセージの新着通知が一件
"セナ:まだ学校にいる?"
あれから連絡など一切してこなかったのに。どういう風の吹き回しか……いや多分絶対キラーのせいだろうが
もう俺たちは親友でもなんでもない、返す義理もありはしないはずだ
けれど、こういう時に何故か浮かぶのは…あの時のセナの泣き顔で
このまま無視し続けたら、彼女はまた同じように傷付いた顔で涙するのだろうか
「やっぱり此処に居たな」
苦笑混じりの声にハッとして、顔を上げると数時間ぶりに見たキラーが腕を組み立っている
画面を睨みつけることに、ことの外集中していたらしく、どうやら全く気配に気付けなかった
「テメェ…余計な事すんなって言ったろォが」
「なんのことだ?」
「…セナから連絡きた」
数時間前のやり取りを思い返すとバツが悪くて、思ったより小声になって現状を報告するとキラーは「ああ…」と肩を竦めた
「あれは…いや、これは別に知らなくてもいいだろうが」
「何ブツブツ言ってんだァ?さっさと言え」
「俺は確かに会いには行ったけどな、そのメッセージを送らせたのは…トラファルガーだ」
「は…」
意外な人物の名前に、一瞬言葉に詰まる
何かと言えば俺とセナを引き離しにかかっていたトラファルガーが…何故俺にメッセージを送らせるんだ?
親友だと認めねェとか言ってたのは、テメェだろうが…
そんな俺の疑問を理解したのか、キラーは静かに口を開いた
「全て聞いてきた。キッドがしたことは確かに許されないだろう。しかしそれを図らずも一部に広めてしまったことを、トラファルガーも反省しているそうだ」
「…ケッ、あいつが反省するタマかよ」
「キッドが己の過ちを後悔するくらいだからな。セナが関わると、トラファルガーもお前も変わるモノだろう」
キラーの冷静かつ的確な分析に返す言葉もねェ…確かにそうだ、セナの前では今まで自分でも知らなかった自分に驚くばかりだった
トラファルガーも、それはきっと同じなのだろうか
「それで、返事は返したのか?」
「…返さねェよ」
「頑固だなァ…」