生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
「ユースタス・キッドが…犯そうとした?」
「それはセナちゃんをってことだよね」
「私たちそんな話聞いてませんけど!」
ギロリと眼球の動く音まで聞こえてきそうなほど、3人分の射るような視線を一身に受けて思わず目を逸らした
女どもの言葉に、ギャーギャー騒いでいた男連中の空気も一気に張り詰める
こいつらには言ってなかったのか…2人とも
「ちょっとみんな!落ち着いて!」
「これが落ち着いていられるかッ!セナは無防備すぎるのよ」
オレンジ頭の女に、肩を掴まれてガクガクと揺さぶられるセナは舌を噛まないようにするのが精一杯といった様子だ
「とりあえず揺するのやめてやれ。舌噛むぞ」
「ゾロは引っ込んでて」
「ナミさん、落ち着いて」
「サンジくんも黙ってて!」
取り巻き(?)の男どもが何とか怒りを収めようとするが、益々ヒートアップするばかりで手に負えねェ
やっぱり俺は此処に居るべきじゃァねェんだよ、セナ
俺は生まれて初めて、きっと最初で最後、この過去の過ちを一生悔いることだろう
それほど、お前にも、お前の周りにも悪いことをしたな
「悪ィ、帰るわ」
ガタンと椅子を鳴らして、席を立つ。当然止める声は聞こえるはずもねェ
さっさとこの場から消えたくて、無意識に足早で出口に向かう
廊下に足を踏み出したとき、今は一番聞きたくない声が聞こえた
「キッド…ッ」
「……」
「、ごめん、ね」
だからなんでテメェが、セナが俺に謝るんだよ
お前に酷いことをしたのは俺で、トラファルガーやお前の仲間の怒りも当然だろうが
セナは何一つ悪くねェ…なのに何故お前は俺に謝り続けるんだ
何故俺は、お前に謝らせることしか出来ねェんだよ…
「もういい。謝んじゃねェよ」
「キッ、ド」
「もう終わりにしようぜ。"親友ごっこ"はセナにとって何の得にもならねェだろ」
言い捨ててから振り返ることなく、止めていた足を再び歩み進める
再び引き止める声が聞こえることはない。ただ遠ざかる耳に届いたのは、セナの静かに湿りを含んだ泣き声だけだった
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「なんで俺がこんな雑務しなきゃいけねェんだよ?!」
「キッド、雑務じゃなくて書類整理だ」
「知るか!大体こういうチマチマした仕事はお前の仕事だろォが、キラー!」