生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
どうやら不満そうにしていた俺の姿が、セナの目にはどこか物欲しそうに映っていたらしい
「ね、美味しい?」
条件反射でつい口を動かして、モグモグと咀嚼していたため嬉々として見つめる瞳が眩しい
いや確かに美味いけど…作ったのは黒足だろうが。なんでお前が嬉しそうなんだか
セナの反応に黒足がニヤニヤニヤニヤと気持ち悪ィ…
「おい…」
今度は地を這うような低い声が割り込んできたと思えば、さすがに呑気なセナに耐えかねたトラファルガーが怒りに打ち震えていた
「俺の目の前で堂々と浮気するとは…いい度胸だなァ?セナ」
「浮気…?してないけど」
お箸を咥えたまま、キョトンとトラファルガーを見上げて返すセナは本当に心当たりがないのか戸惑っている
これが実はワザとなら、とんだ魔性の女だろ
「俺にも何かよこせ」
「へ?何かって…」
箸を持った右手を掴んで、間抜けにも口を開けて待つトラファルガーの行動に更に困惑するセナ
さすがに反対側に座っていた女どもが深い溜息を吐いている
「セナさん…さすがに」
「トラ男が可哀想だわ…」
「今のはセナちゃんが悪いよ」
「えっ、えっ」
「さっさとしろ」
箸でプスリと丸い何かを刺させると、無理やり口元に運ばせて口内に収めた
飯食ってるとは思えねェオーラでモグモグと咀嚼し、飲み込めば次を促す
「自分で食べてよ…!」
「あァ?俺に命令するな」
「なにその言い方!大体私は浮気なんてしてないし!」
「ユースタス屋に何をした」
どうしたって自分のしたことを自覚してねェセナに、痺れを切らしたのか核心に迫って問いかける
「キッドに?」
「俺の目の前で、ヤツに何か食わせただろうが」
「いやあれは、キッドが食べたそうにこっちを…見てた、から」
言い訳をしつつも、その理由に自信が無くなったのか段々と声が萎んでゆく
ハッキリと言われて流石に気付いたんだろうな
トラファルガーが核心に迫ったあたりで、周りは日常茶飯事らしいこの諍いを気にしてるヤツは誰も居ねェ
「ちょっと食べさせたくらいで浮気にはならないでしょ」
「お前な…相手はテメェを犯そうとした男だぞ。油断してんじゃねェ」
「だけど今は親友で…「「ちょっと待って(下さい)」」
女どもの視線が一斉に此方へと刺さる