生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
セナが必死に腕にしがみ付いてるが、俺には屁のつっぱりにもならない
寧ろこの小さな身体ごと、再び教室に戻る勢いだ
「だーっ、悪かった!悪かったから、セナは置いてけ!」
「あ?誰に指図してんだテメェ」
「ヒッ!よ、よーしゾロ、あとは任せた!」
鼻の長い男が顔面蒼白で明らかにビビりながら喚くので、ひと睨み利かせりゃ縮み上がって麦わらンとこの剣士の後ろに引っ込んでいく
「ケッ」
「キッド、ごめんね」
「お前が謝る意味が分かんねェ」
「それは…」
からかったのはあくまで他の奴らで、良かれと俺を誘ったセナに悪意はないことは分かってる
ったく、相変わらず他人事を無視出来ねェ女だ
仕方なく、セナに免じて席へ戻ろうと振り返った矢先
身体に何かが巻き付いてギョッとする
よく見るとそれは人の腕で、誰の仕業か検討がつけば溜息が出た
セナごと拘束した腕に力が込もると、ゴムの伸縮力を利用して身体が引き付けられる
そして有無を言わせず、空いていた席に座らされた
「どこ行くんだよ!お前が座らねェと、飯食えねェんだぞ!」
「知らねェよ…」
唾が飛び散るほどの至近距離で、バカみたいにデカイ声で説教されればアタマが痛い
ちなみにセナはきちんとトラファルガーの隣に座らされていたので、麦わらの説教は免れた
「落ち着けルフィ。ひとまず全員揃ったんだ、手ェ合わせるぞ」
俺に食ってかかろうとする麦わらを押さえた黒足の一声に、全員が手を合わせる
ここはガキの幼稚園か
しかし、その後の光景は幼稚園なんて生易しいモンじゃなかった
目の前を飛び交うのは様々なおかず、米、箸…今度は戦場か此処は
俺とこいつらを繋ぐ唯一の存在は、他の女どもと談笑しながら楽しそうだ
おいおい、テメェが俺を呼んだんじゃねェのか
「セナちゃん、ユースタス先輩がすっごく不満そうだけど」
金髪の貧弱そうな女が、セナの肩を叩いて此方に視線を送ってくる
それに反応したセナは此方を見るなり、おもむろに手を伸ばしてきた
「?」
よく見ると手の先には箸が握られ、魚らしき何かがつままれていて
俺の口元の辺りで止まると、首を傾げて見つめてくる
「?これが食べたくて見てたんじゃないの」
「はァ、モゴッ!」
「サンジさんのお魚、美味しいでしょ?」