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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第17章 優越感と劣等感【キッド夢】


「もう!そんなこと言わないの!」
「俺も同感だがなァ」
「キッドまで!」

セナがなんとも複雑な顔をして溜息を吐いた

普段から俺とトラファルガーの意見は大体真っ向から分かれる
周囲からは根本的な性格が似ているのだとか、実は仲が良いだとか散々ムカつく理由を並べられるがそうじゃねェ

基本的に対立するのはセナと自分に関わること
同意見になるのはセナに手を出そうとする輩への怒りや苛立ち

そんなこと、周囲も本人も知る由がない

俺は親友で恋人にはなれないし
トラファルガーは恋人だが親友にはなれない

日々一進一退、お互いの中にせめぎ合う優越感と劣等感


キーンコーンカーンコーン

「えっ!もうそんな時間?!」

わたわたと腕の中から抜けようとするのを、相変わらず器の小せェトラファルガーが阻止しようとする

「ちょっとロー!離して…!」
「このままフケるか」
「生徒会長が何言ってるの!もう!」

一瞬の隙に抱え上げられそうになるのを避けたセナがどうにか抜け出すことに成功したらしい
次の瞬間にはトラファルガーの表情が不満げに歪むのが、いつ見ても面白いと思う

「じゃあね、2人とも!」

後ろを振り向いて手を振ると、颯爽と教室への道を走り去って行った



*****

「やぁっと昼か…」

4限目が終わり、長く苦痛な時間から解放される
クソ真面目な授業に凝り固まった全身をポキポキと鳴らしながら天井を仰いだ
そのままぐりんと首を巡らせれば、さっさと教室を出て行く見慣れた後ろ姿


「一緒に昼飯…ねェ」

昼飯をセナに誘われたのは初めてじゃねェ
親友となってから、あいつはしょっちゅう俺をグループに誘ってきた

だが正直、セナのつるむ幼馴染や麦わらの仲間共と一緒に居ても
俺の居場所が出来るとも思えねェんだよなァ

なんせセナの隣には常にトラファルガーがいる
仲のいい女も何人か居るようで傍目から見ると、親友の座はそいつらのモンだろう

俺が居たい場所には、既に空席はない
けれどそんな子供じみたことをセナ本人に言うわけもなく
またその周囲に知られるのも癪だしな

「あーっやっぱりまだ居た!」
「んあ?セナ?」

頭を反らせていた目の前に、逆さまに仁王立ちになって、眦をつり上げたセナ
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