生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
「…テメェ!」
ガッと距離を詰めてきたトラファルガーに胸ぐらを掴まれるが、あいにく俺はこんなひ弱そうな男に負ける気がしねェ
「なんだよ、離せ」
「俺はテメェを親友だと許した覚えはねェ」
「テメェに許される覚えはねェなァ」
睨み合うお互いの間に火花が散る
あの一件から、俺がセナの親友になってから…こうしてなにかとこの男と言い合う機会が増えた
今にもどちらともなく殴りかかりそうな雰囲気だ
ゴンゴンッ
「お前ら、いい加減にしとけ」
なにか鉄の塊のようなもので殴られた気がする
一瞬赤髪のげんこつかと思ったが、視界に入った長い銃身を見て第三者の登場を悟った
「げっ」
次に聞こえたのはカエルを踏み潰したような赤髪の声
ひどく気まずそうに、隠れるワケもねェのにセナの後ろへ身を隠そうとしている
そこでようやく、現れた人物を改めて認識した
数学教師であり、赤髪のお目付役でもあるベン・ベックマンだ
「お頭、何してンすか」
「生徒たちと親交を深めようと思ってな!」
「ほう…俺ァてっきり、既に始まってる職員会議をフケたのかと」
「…………」
ベックマンの静かな言及に視線を泳がせて、冷や汗ダラダラ流しながら赤髪はセナの腕を掴んだ
手に手を重ね胸の前で手を合わさせる
「へっ?!」
「ベックマン先生、私に免じてシャンクス先生を許してあげて下さぁい(裏声)」
ドカドカッ
「どわっ!」
赤髪が気持ち悪い裏声でセナのフリをしてベックマンに許しを乞う。もちろん誰1人通用なんざしてねェけどな
次の瞬間ベックマンが肩に担いでいた銃身をフルスイングしたのと同時に、いつの間に俺の前から移動していたトラファルガーの蹴りがその逆側からクリーンヒットする
「きゃ…!」
「セナ!」
吹っ飛ばされた拍子に、赤髪が掴んでいたセナの手を離したもんだから
セナの身体が宙に浮いた
すかさずトラファルガーが、腕を掴んで引き寄せる
「……ハァ、悪い白石」
「気安くセナに触らせんじゃねェ」
「ちょっと、ロー!」
「トラファルガーも、悪かったな」
申し訳なさそうに頭を下げたベックマンは流石にのびきった赤髪を回収して、そのまま職員室へと戻っていった
「シャンクス先生大丈夫かな…」
「自業自得だ。気色悪ィ」