生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
つか、人の声遮っといて…セナに構うんじゃねェっつーの
ほらほら、俺の隣からヤツが立ち上がってズンズンと近づいて
ガシッ
「お?」
「気安く触るな」
「なんだァ?それが教師に向かって…「悪いがアンタの冗談に付き合ってるほど暇じゃねェ」…ちぇっ。ノリ悪ィなァ、トラファルガー」
掴まれた腕を離し、やれやれと肩を竦めて至極つまらなさそうな赤髪
いい年したオッサンが可愛くもねェ、唇尖らせて拗ねてやがる
そうこうやり取りしてる間に、セナが此方へ近づいて来た
「辞書ありがとー!なんかほぼ新品のようだったから、使うの気が引けたんだけど。新品じゃないよね?」
「気にすんな。たまたま3年間出番がなかっただけだ、寧ろ喜んでんじゃねェかァ?」
「出番ないわけないでしょっ!」
「つべこべ言うなら、さっさと此処で借りを返して貰うぜ」
からかうつもりで腰を抱き寄せて、耳元で低く囁いてやると思いの外抵抗がねェ…
その表情を覗き込めば、完全に強張って泣きそうな顔で此方を見てやがる
「…ッチ」
腰を抱き寄せた腕を解放して、少し距離を置いた
多分セナの中で、あの時の記憶がフラッシュバックでもしたんだろ
今にも泣きそうなセナの表情に、俺までフラッシュバックしちまうだろうが
『っ、ひぅ…ッ』
必死に泣くまいとするのに、漏れる嗚咽が堪えきれずにいる
カタカタと、奥歯が噛み合わない音まで聞こえてきそうで
すべてに気が、狂いそうだ…ー
「セナ、どうした」
「あ…ッ、ロー。なんでもないよ」
「?なんでもない顔してねェな、吐け」
「本当になにもないんだってば!ちょっ、頬っぺた抓らないで!」
顔の形が変わるくらい、柔らかそうな頰を抓り引っ張るトラファルガーにワタワタと抵抗を示すセナ
多分その指先に大した力は込められておらず、痛みは感じてないはずだ
「ユースタス屋に何かされたのか」
「!そ、そんなわけない…じゃない?」
「………」
相変わらずセナは嘘が下手な女だ
明らかに視線を泳がせて、言葉を詰まらせた
手を離したトラファルガーが、少しだけ赤くなった頰を撫でながら、こちらを振り向く
「テメェ…何しやがった」
「あ?何もしてねェよ、セナも言ってんだろォが」
「嘘をつけ」
「嘘じゃねェなァ。まだ、何もしてねェ」