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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第17章 優越感と劣等感【キッド夢】


ひどく重くて長い溜息が吐き出されたことに、条件反射か女どもが肩を震わせる…やっと気付いたか

「人の話は聞かねェ」

「気味の悪ィ妄想押し付けやがる」

「挙句…人の女に言い掛かりか。ったく甚だしい」

ホーキンス並みに無表情を貼り付けたトラファルガーが、セナを背に庇ってゆらりと女どもの前に立ちはだかる
その内心、怒りに燃え上がっているであろう罵詈雑言を今にも叩きつけそうだ

セナはこの男の弱みでもあり、強みでもある
ンなもん入学式の日から分かってンだろうが…よほどのバカが居たもんだな

トラファルガーの背後で、さすがに見たことないくらい怒っている姿にポカンと口を開いたままのセナ
ふと何故此処にセナがきたのかを思い出した
さすがに授業合間の休憩時間だ、そろそろ予鈴が鳴るはず

「セナ、セナッ」
「へっ!あ、なに?キッド?」
「そろそろ予鈴鳴るぜ。ほらよ」

さっと取りに行った辞書を投げつけてやる
受け取った新品同様の辞書に、一瞬首を傾げたがすぐに自分の本来の目的を思い出したらしい

「?あっ、ありがと!」
「さっさと行け。後のことは始末しといてやるよ」
「始末って…でも、ありがとねキッド」

嬉しそうに笑って、大きく手を振ると踵を返した
辞書を抱えて、階下へ向かう階段へと向かう後ろ姿を見送って暫くすると

キーンコーンカーンコーン

「間に合ったな」
「おい、ユースタス屋。セナはどうした」
「あ?とっくに帰らせたぜ。お前が女どもに手こずってる間になァ」

セナを見送ってすぐ、何事もなく席に着いていた俺の隣に
取り巻いていた女どもが、チャイムの音に慌てて散ったお陰だろうが、少し遅れてトラファルガーが席に着き
早速食ってかかってきやがった

「あの女どもは、そもそもお前の取り巻きだろう」
「あいつらは相手が俺だろうがテメェだろうが、自分が相手にされなきゃキレんだよ」
「ったく面倒くせェ…」

生徒会長らしからぬトラファルガーが忌々しげに呟くのを、呆れて見遣れば通路に影ができた

「何が面倒くさいんだ?」

頭上から、怒りを孕んだ声が降ってくる
思わず同時に顔を見合わせて、声のした方を見上げれば…

教室に差し込む日差しが後光のように照らしている、赤髪の男
その左目には俺と同じように三本の傷
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