生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
「えっと辞書を借りに…」
おいセナ口を利かねェんじゃなかったのか…都合いいよな、女ってこういうところ
多分トラファルガーも同じことを思ってやがる顔をしてるがこれ幸いにとお互いに口には出さなかった
その一瞬の沈黙をセナは、辞書を忘れたことについて咎められると勘違いしたらしく、俺の制服の裾を軽く握って再び背後に身を隠す
するとトラファルガーはピクリと眉を跳ね上げ裾を掴んでいたセナの手を離させ、自分の方に引き寄せた
「ちょっと、ロー!」
「で、盗み聞きってのはなん『『キッド君と白石さんが親友って本当なの?!?!』』
セナを挟んで会話していたところに、見事な横やりが割って入った
そちらを見ると名前も知らねェ女どもが何人か束になって、やけに息巻いている
『『ッ…!』』
俺とトラファルガーの視線を受けると、全員が全員顔を真っ赤にし、一瞬言葉を詰まらせた
しかしきょとんとしているセナを見咎めると、どこで練習してきたのかってくらい揃えたセリフ
『『ロー君の恋人だけじゃ飽き足らず!キッド君まで誑かすなんて…どういうつもり?!』』
どうやら標的をセナに固定しちまえば、自分たちの立場が上だとでも思ってやがるのかグイグイと距離を詰めてゆく
「おい」
『ロー君?!』
リーダー格と思わしき中心に立っていた女が、あと数歩でセナに手を触れかけたとき
痺れを切らしたトラファルガーが、いち早く女の手を掴み上げた
「こいつを選んだのは俺だ。文句を言うなら俺に『キャー!どうしよう私ロー君と手を繋いでる!こ、これは…恋』
「いや、ねェだろ」
余りにも見当違いな妄想してる女が憐れすぎて、思わず棒読みで突っ込んだ
トラファルガーはさっさと手を放してしまっている
根拠のない恋の予感とやらに浮かれた女が、さらに調子に乗ったのかドヤ顔でセナにビシリと指をさし啖呵を切った
『私のロー君から離れなさい!』
『キッド君からも離れて!」
『『そうよそうよ!』』
どう考えてもセナがトラファルガーに捕まってんだがなァ
流石に面白がっていた観衆も、勘違いっぷりにドン引きだして徐々に白けてきてる
渦中のセナはというと口を挟む隙も与えられず、なんとも微妙な顔をして状況を眺めていた
「ハァァ…」