生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
別に無視すればいいんだが、俺はこの男に妙に突っかかっちまう。そして相手もやけに突っかかってきやがる
最近は特にセナのことで、お互いにピリピリして仕方ねェ
「なんのことだ」
あからさまに怒りを孕んだ声と表情で、そんな風に返されては神経逆撫でられたなんてもんじゃねェだろ
テメェの方から見てきたんじゃねェか!
「何か言いたげに見てきただろォが」
「クッ、自意識過剰なんじゃねェのかユースタス屋。俺がお前を見ているワケない」
「目ェ合ったじゃねェか!どうせ日曜にセナと出掛けられねェのが気に食わねェんだろ。小せェ男だな、トラファルガー」
互いにフンッと鼻を鳴らし、一触即発のような雰囲気を纏って睨み合う
周囲の席の奴らが机ごと引いていく音が耳障りで、より表情が険しくなる
「ハッ、気に食わないのはそっちじゃねェのか?貴様は所詮セナの"親友"でしかない」
「…ああそうだ、それでいい」
「今朝の様子じゃ、そうも見えなかったがな」
「テメェこそ、その所詮"親友"にこだわりすぎてんじゃねェか」
いつ、その地位が脅かされるのかと
「よほど早死にしてェようだなァ…ユースタス屋」
「図星かァ?いいぜ、相手になってやろうじゃねェの」
俺が腕をふりかざせば、吸い寄せられ天井まで高く積み上がる机と椅子の山
教室にある、ありとあらゆる金属がトラファルガーに牙を剥く
対してトラファルガーが手の平を床に向け構えると、俺の周囲に半円形のドームが現れた
ヤツの厄介な能力だ。お互いに先手を打つタイミングを窺って睨み合う
暫しのこう着状態が続いた矢先
「2人とも何してるの!!」
聞こえた声は、今まさに諍いの中心にもなっていた人物…ぎょっとした俺とトラファルガーが教室の出入り口を見遣ればセナが肩で息を切らしながら烈火の如く眦を吊り上げていた
「なぜ此処にいる」
既に朝のHRが始まっている時間だ、冷静さを取り戻したらしいトラファルガーが生徒会長の顔でセナを窘めようする
何かを言いかけてセナが口を開こうとしたタイミングで
能面のような無表情と、抑揚のない聞き慣れた声が扉の陰から姿をあらわす
クラス担任のバジル・ホーキンスだった
「お前たちを繋ぐも離すも、中心に立つ彼女にしか出来ない。よって事態の収束にセナは必要不可欠だ」