生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
これくらいの攻撃で死にやしないことは、俺もトラファルガーも分かっていただろう
ただこの人並外れた能力の恐ろしさを初めて目の当たりにしたセナは目を丸くして口をあんぐりと開けていた
この学園は能力者がウヨウヨいる。だが半数以上は何の力も持たねェ人間どもだ
学園内で力は使えない、けれど悪魔の実の能力のことは力を持たない生徒でも知っている常識
そんな学園の常識を、セナは知らなかったらしい
詳しく話してやろうとすれば、慌てて止めてくるのはトラファルガーだった
そりゃァ知らなければ、知らないままいる方が安全だろうな
けど目の前で俺たちのやり取りを見ていたセナは、そんな理由を話したところで納得する顔してねェ
そこでまた俺は冗談を含めつつ性懲りもなく、情報提供のための交換条件を提示すると
返ってきた答えは、これまた予想外に俺自身への問いかけだった
何故、セナに執着するかだと?
『そんなもん』
俺が一番知りてェよ
見た目が派手でもなけりゃァ、年下のくせに対等に言い返してくる始末の可愛くない女だ
俺の事を怖がるどころか、といって嫌うわけでもなく…ただ俺の存在は認めてくる
あってないような好みと、真逆にいるはずのセナ
『俺を怖がらねェ、からだ』
とりあえず、初めて気を惹かれた理由だけ馬鹿正直に伝えてやる
すると、俺の中の葛藤や迷いを知る由もないアイツは
『友達…あ、親友とか』
きっと俺だけじゃねェ、トラファルガーの予想も斜め上に言った提案を投げ掛けてきやがった
ふざけんな。女のお前に、ましてやお前を犯そうとした俺が親友とか…バカにされてるとしか思わねェ
『真剣に言ってるのに!親友って、下手すれば恋人より一緒に居られるんだけどなぁ』
どうやら、至って真剣な話だったらしく。更に俺はコイツのことが分からなくなった
『けど面白れェじゃねェかよ』
俺は何も言ってねェし、引こうとすらしたのに
セナが俺を、望んだんだからな
後になって、何を言っても聞いてやらねェ
例えトラファルガーのヤツが遠ざけようとしても、だ
そう思い、セナの親友となって数週間
後悔はしてねェが色々と分かってきたことがある
まずセナは自分のことになると、超が付くほど鈍くなること
そして突然斜め上の想像力を発揮する