生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
『もう少し、』
触っていたい、と欲が出そうになったところで忽然とセナの存在が手の中から消えた
「ちょっと!ロー?!」
「いい加減にしろ、行くっつってんだろうが」
「シャチとペンギンがやってくれてるでしょ?!ベポくんも呼んでたじゃない」
声のする方に目を向ければ、先ほどまで俺の手の中にいた存在を腕の中に収めているトラファルガーの姿と
文句は言いつつも逃げることはなく、ただ抱き締められているセナがいた
別にいつも見ている光景なのに、今日はなんだか無性にムシャクシャして
思わず開いた口から出た言葉は、自分でもびっくりするほどに刺々しかった気がする
「行くならさっさと行け。他の生徒の邪魔なんだよ」
シッシッと追い払うかのように手で空を切ると、セナがあからさまにショックを受けた顔をして眉を下げたのが視界に入った
そんな様子に見て見ぬふりを決め込むと、トラファルガーがフンと鼻を鳴らしてセナを抱えたまま、踵を返すと校舎へ向かい足を進める
2人の姿が見えなくなったところで、門柱にもたれ掛り重い溜め息を吐いた
「はァ、ダセェ」
ほんの数分前まで、触れていた感触を思い出し手のひらを見つめると強く握り締める
いつだってセナの側で彼女に触れていいのはトラファルガーだけだ
当たり前の話だが、脳内で改めて認識してみると思わず自嘲気味た笑みがこぼれてしまう
自分のこの手では、彼女を抱きしめることは許されない
いや案外抜けているセナなら一度くらい許すかもしれないが
あの時、俺は俺自身に罪の重さを科したんだ
どんな誘惑や気の迷いがあろうともセナには手を出さない。そしてもう二度と彼女を傷つけたりしない
『アイツを、俺は親友として見守る』
思い起こせばまだ、鮮明に蘇る記憶だった
初めて接触したその日、何度も俺はセナに会いに行く
トラファルガーとの付き合いも変わらないのに、決してこちらを向かないのがやけに歯痒くて
結局ほぼ罠にハメたように屋上にセナを呼び出し、冷たいコンクリートに押し倒すと無理矢理…犯そうとした
正直あの時の俺は、初めて湧き上がっためちゃくちゃな感情をどうすりゃァいいのか…分からなかったんだろうな
行き場のない熱が、身体の中で暴れ回ってる感覚に目眩がしそうだった