生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第17章 優越感と劣等感【キッド夢】
「キッドおはよー!」
「おう」
俺には女の親友がいる
毎朝正門の前で出会うのが、必然的な日課だ
今日も眩しいほどキラキラした笑顔を振りまいて、こっちへ手を振り近寄って来た
「毎朝お疲れ様」
「フン、別に大したことねェよ」
「素直に"ありがとう"って言えないかな〜風紀委員長サン」
クスクスと笑いながら、ワザとらしく背伸びをして顔を覗き込んではニヤニヤしてやがる
こんなことする奴が例え女だとしても、今までの俺なら容赦はしねェ…
そもそも、そんな勇気のある奴なんざ居なかったけどな
覗き込んでくる黒目がちな瞳に、難しい顔をした俺が映り込んでいた
が、次の瞬間には柔らかそうな栗色の後頭部が視界に広がる
「セナ」
不機嫌そうな男の声が親友の、セナの名を呼ぶ
応えるように振り返ったセナは俺から距離を置き、声の主の方へ歩み寄った
「朝の会議の資料まとめなきゃなんねェんだ。さっさと行くぞ」
もっともらしい事を言ってやがるが、ありゃァ確実に俺から距離を置かせたかっただけだな
この凶悪な面構えをした男の名はトラファルガー・ロー
生徒にはなにかと人気の生徒会長で、セナの彼氏だ
セナは入学式の日、トラファルガーに気に入られ付き合い始めたのは…まぁ知ってるっつーか、この学園の生徒及び教師には周知の事実だろ
だから元々気に食わなかったトラファルガーの女ってことで、ちょっとイジメてやろうとある朝声を掛けたら
セナは俺にビビるどころか、真っ向から向き合い対等に口答えをしてきやがった
2mを超える身長と、元々愛想がいいとは言えない顔つきと態度の俺は遊ぶ女に困ったことは無かったが
どいつもこいつも機嫌を伺って、耳につく猫なで声で話しかけてくるようなやつらばかり
少しでも苛立ちをみせればあっさり逃げていく始末だ
別にそれでもいいと、正直どうでもよくなってた最後の高校生活…
「キッド―?」
「あ?」
「聞いてなかったの…お昼ちゃんと教室来てよ!サンジさん、最近多めにお弁当持ってきてくれるんだから」
まだいたのか。別に後でメールでもくれりゃァいいのに
案の定常人なら死んでそうな視線が刺さってきやがる
かなり低い位置にある頭をわしゃわしゃと撫でてみた
見た目通り柔らかな髪…セナそのものを表すかのような手触り