生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第16章 初めての…(*)
あっという間に視線を越した山は、グラグラと不安定に揺れる
細心の注意を払いながら、片足を踏み出したところで当たり前だが均衡は崩れてしまう
「わっ!」
「ー"ROOM"
"シャンブルズ"」
ドサドサドサッ
確かに腕の中は軽くなり、プレゼントの山が崩れた音はしたのに
その衝撃は、いつまで経っても襲ってこない
代わりに聞こえたのは
「ってェ…」
「?!ロー!」
呻くように呟いたローの声
振り返ってみるとローはプレゼントに囲まれ、最後に落ちたのか小さなリボンの掛かった箱を頭に受け止めているところだった
ふと先ほどまでプレゼントを抱えていた腕の中を確認すれば、ロー愛用の帽子の姿だけ
「ケガはねェな」
「うん…ありがと」
どうやらローの能力によって崩れてきたプレゼントの山を、咄嗟に被っていた帽子と入れ替えたらしい
「大丈夫?」
「大したことねェ」
「もー無茶なんだから」
覗き込むようにしながら少し乱れた髪を手ぐしで直してやり、ローの頭に帽子をポフッと被せ直した
ローはツイと顔を上げて、セナの頭越しに気まずそうにしている面々を睨みつける
「言う事は」
「「ごめんなさい」」
「ちょっ、みんなも悪気があったわけじゃないからね?」
小さくなってしまった友人たちの姿を庇うように背に隠し、睨みつけるローに対峙すると更に不機嫌さが増したように、その表情が怒りに歪められた
しかし続けて一つ大きな溜め息を吐く
「今日だけだからな」
「ん?」
「セナの誕生日に免じて、今日だけは許してやる」
ぱぁあっと落ち込んでいた面々が顔を上げると、“次はないと思え”と釘を刺すことも忘れない
そして対峙していたセナに近づくと、腰に手を回し担ぎ上げた
「?!なっ、なに」
「立ってるのも辛いんだろ」
「だからって何故このスタイル?!」
「あ?いつも横抱きにしたら文句言うじゃねェか」
セナには見えないのをいいことに、ニヤニヤと笑いながらローはもっともらしく理由を告げる
「でもこれ…っ」
「じゃあ選ばせてやるよ。お前はどっちがいいんだ?」
「ッ…いじわる」
「「あのー」」
「!」
悔しそうなセナとローの背中に、シャチとペンギンが恐る恐る声を掛けた
「ラブラブなところ悪いんだけどさァ」
「そろそろ進みませんかね、お2人さん」