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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第16章 初めての…(*)


周囲も、もはや敢えてツッコミはしないが…呆れ気味に2人を見守っていた

「も、降ろして…!」
「断る」
「も、もう…せめて、お姫様抱っこにして…」
「ほう、希望とあれば仕方ねェなァ」

ローが明らかに笑みを含ませた声でそう言うと、肩からスルリと小さな身体を腕の中に降ろす
そうしてようやく、学校への道を歩き始める

「うう…私が望んだんじゃないもん」

手のひらで顔を覆い隠し、誰に言い訳するでもなくブツブツと何かを呟く姿がおかしくて、ローは笑いを必死に堪える

「望んでいいんじゃねェのか」
「え?」
「誕生日だろ。なんでも言えばいい」

寧ろどんな些細なことでも、我儘でも聞かせてほしい
口には出さないが、いつだってそう思っている

「…いいの?」
「何言うつもりだ」
「なんでもって言ったよね」
「怒るな。あいつらに聞かれてもいいのか」

2人の後ろをぞろぞろとついてきている、友人・教師の群れを顎で指すと
再び真っ赤になって顔をローの首元に埋めてしまう

「言わねェのか」
「言えないでしょ…ばか」
「お前、落とすぞ」

手の力をフッと緩めるフリをすると、きゅっと首元に回されていた腕に力が籠った

「本当に落とそうとした…!」
「ワケねェだろうが」
「もー絶対言わない」

落ちないように腕は回したまま、セナの顔は明後日の方向に背けられる
どうしたって距離が近い事には変わりはないのだが

しばらく無言のまま、あとは学園の前の大きな横断歩道を渡るだけになった頃
朝日に反射して、何かがキラリと光ったのに目を奪われる

「生徒会長なのに、ピアスっていいの?」

ローの右耳に光るシンプルなピアスを撫で、クイクイと引っ張ってみせる
横断歩道の信号待ち、他の生徒もゾロゾロと周囲に並ぶ

「オイ、引っ張んな」
「不良生徒会長めー」
「やめ、」

ピアスを引っ張るフリをして、耳元に顔を寄せる
チュッとリップノイズを立ててピアスにキスを一つ

「これからも…ずーっと誕生日祝ってくれる?

それが私の望み」

信号が青になると同時にセナは腕から飛び降りると、学園へと走り出す
取り残されたローは一瞬満足げに笑って、すぐさま後を追った


今彼女が望んだことは、これからの彼の望みでもあるのだ
だからこれからも何度だって言おう

“HAPPY BIRTHDAY to YOU!”
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