生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第16章 初めての…(*)
包み込まれているような心地良い温もりと微睡みの中
暖かくて、ひどく安心する
朝の匂いを感じようと大きく息を吸い込めば
微かに消毒液の匂いが鼻をついた
もぞりと身じろぎすると、背中に回された腕に力が込められる
無意識な行動に胸がキュン、と締め付けられた
「んぅ」
やけに重く感じる瞼をゆっくり持ち上げて、パチパチと数度瞬きさせて辺りを見回す
ツイと視線を上げれば、穏やかな寝息を立てている愛しい人の寝顔
端正な顔立ちに、眠っているのに不健康そうな目の下の濃い隈
顎にたくわえた髭は男らしさを更に引き立てている
「…ロー」
起こさないように、声を潜めて愛しい名前を呼ぶ
優しく頰を撫で、両手で包み込んだ
眠っているローがピクリと反応する。けれども目を覚ますことはなかった
起きなかったことをいいことに、そっと薄い唇にキスを落とす
いつもそうされるように、何度も何度も触れるだけのキス
セナは目を閉じてキスに夢中になっていたから気付かなかった
背中に回されていたはずの腕が、いつの間にか後頭部に忍び寄っていたことを
「何してる」
「?!ッ」
瞑られていた瞼がパチリと開かれ、少し掠れた眠そうな声が聞こえる
すると後頭部に手が添えられ合わさった唇から、舌が侵入してきた
口内を堪能するように、歯列や上顎を舌先でくすぐられるとゾワリと身震いをする
「んッ、ん…ふぁ」
「ッは…やけに積極的だったな?セナ」
「いっいつから起きて…!」
真っ赤になって顔を隠すセナに対し、ローはくありと欠伸を一つ漏らす
そしてより密着するようにセナの腰を抱き寄せ髪に鼻先を埋めた
「穴が空きそうなほど見つめられてりゃ、起きるだろ」
「そんなに見つめてないもん…」
「ほう…」
先ほどのお返しとばかりに、色素の薄い柔らかな髪に唇を落としてゆく
唇が髪に触れるたび、ピクピクと小さく反応を返すのが可愛らしい
「なぁに?くすぐったい…」
「体調はどうだ」
「…腰が使い物にならない気がする」
「クックック…」
「笑ってるけど!ローのせいでしょ!」
喉奥で愉快そうに笑いを堪えるローに、ぷくっと頰を膨らせ恨めしげに睨みつけた
それでもなお、彼の笑いは止まない
「胸が苦しかったりしねェか」
「?うん、大丈夫よ?」
「ならいい」
「…もしかして、オペ終わったの?」