生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第16章 初めての…(*)
それもそうだろう、自分の愛する彼女が他の男の手で汚されたとなれば
たとえ口付けだけであろうが、許せるはずがない
特にローは、セナへの執着が人一倍強いように思う
それは過去に一度姿を消したからなのか、元々独占欲が強い方なのかは分からないけれど
もし自分が同じ立場なら、烈火のごとくキレまくって泣き喚いているだろう
「っん、ね…ロー?」
「…黙ってろ」
「や、ンン…ぅ」
角度を変える一瞬の隙に、話しかけようと少し顎を引けば
ムッと眉間に皺が寄せられ、顎に添えられていた手が後頭部に回され固定されてしまった
『相当怒ってるなぁ…』
いつも思いつくまま言葉を返すせいで、こうして何度彼を傷つけてしまっただろうか
口付けを受けながら、どうすればローの機嫌が直せるかと考えを巡らせる
すると、ようやく唇が離され…密着していた身体も離れていった
「ふぁ…ロー?」
覆いかぶさっていた身を起こし、ローが再びベッドサイドに腰掛けたので
どうしたのかと、セナも身体を起こすと隣に並んだ
「ごめんね?」
「何を謝る」
「…ローの気持ち、考えられなくてごめんなさい」
ギュッと身体に腕を回して全身で抱きつく
しかしその表情を、怖くて見られない
「さっき、何を考えていた」
「?」
「話し掛けようとしてたのを、無理やり塞いだ後だ」
「えっと、」
ローの問いかけに、ふと湧いた疑問がひとつ
抱きついたまま、彼にバレないようにその表情を伺った
先ほどまで怒りに険しい顔をしていると思っていたのだが、どうやらそうではないようだ
瞳に映る端正な横顔は、険しい顔ではあるがその唇はムッと引き結ばれている
想像していたよりだいぶ、幼くみえる表情で思わず
「ふふ、かわいい」
「あ?」
「だって、私がキスしながら他のことを考えてたのが嫌だったんでしょ?」
「ッチ…悪いかよ」
ローは見られてることが分かったらしく、そっぽを向いてしまった
その際には唇がほんのり尖っていたのをセナは見ていた
愛しさがこみ上げてきて、抱きついたままの腕に力を込める
「私はローのことしか考えてないよ?」
「…」
「さっきはどうしたらローの機嫌が直るかなって、考えてただけ。だから拗ねないで?」
「別に拗ねてねェ」
身を乗り出して、そっぽ向いたままの頰に軽く口付けた
「あなただけよ、ロー」