生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第16章 初めての…(*)
「身に覚えがあるから、2人を怒るんでしょ」
思わず言い返しながら、内心後悔の念が押し寄せる
けれど言ってしまったもの、今さら遅い
『我ながら、可愛くない女…』
きっと超絶不機嫌になってしまったローを、見返すことができない
余計なことを言う可愛くない女だと、呆れられて当然…
「…ハァ」
「っ」
深々とした長い溜息が吐き出されて、びくりと肩を震わせる
次に出る言葉が、怖くて怖くて仕方ない
それなら言わなければ良かったのに、後悔とはいつだって先に立たないものだ
「面倒くせェ」
「…ごめ「回りくどい言い方してんじゃねェ…妬いたなら素直に言え」
頰に添えられたままで、少し冷たくなった手で両頬を掴みあげられる
強制的にタコみたいになってしまった顔で、キョトンとローを見上げた
「プッ。ブサイクだな」
「…!ローのせいでしょ!」
「過去の女なんざに妬いてんじゃねェ」
「だっ、て」
ローは口角をつり上げると手を離し、ポンポンと頭を撫でる
「俺が選んだのはお前だ」
「そうだけど…」
「嫉妬する余裕もなくなるほど、愛してやる」
「ッ…!」
全身真っ赤になったセナを見て、ローは満足げに笑みを浮かべた
しかしそこで第三者の声に現実へと引き戻されることになる
「あのさぁ、水を差すようで悪いんだけど…ココ道の真ん中だって覚えてる?2人とも」
「!!!」
ずっとローの荷物を持ったまま、立ち尽くしていたベポが声を掛けた
流石に住宅街の道路の真ん中で、学生のカップルが何やら言い合っていれば嫌でも周囲の目に留まる
特に中年の女性連中は、2人を好奇の目で見つめていた
その視線の痛さに、急いでローとベポの手を引くとセナは走り出す
それからだいぶ走って、気付けば自宅の前に来ていたので足を止めた
「また、いきなりだったな」
「急に走るんだもん、びっくりしたよ」
「ごめん。2人とも…びっくり、しちゃって」
呼吸一つ乱れていないローとベポに対し、セナは息を切らしながら会話を続けた
ベポはローに荷物を渡しながら、セナの背中を優しく摩ってやる
「大丈夫?」
「ありがと、ベポくん…あ、夕飯食べてく?」
「えっ……」
「…さっさと答えろ、ベポ」
「ノロマなクマでスミマセン…帰ります」
無言の威圧に気圧されたベポは、足早に去っていくしかなかった