生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第16章 初めての…(*)
ローについていたベポが、不思議そうに声を上げた
確か先ほどセナの家に泊まると言っていなかったか
前を歩いていた3人も、思わず足を止めて振り返ると
ローは自宅のある方向へ進もうとしているところだった
「会長?!セナの家はまだ」
「なんだ。荷物を取りに行くだけだ」
「ああ、そういうことっすか」
てっきりセナに平手打ちされたことで、機嫌を損ねてお泊まりを撤回するのかと3人はヒヤヒヤした
未だに拗ねたままのセナもローの自宅の方まで連れて行く
3人の心配もどこ吹く風、泊まらないという選択肢はさらさらないようで足早に自宅へ消えたかと思えばものの数分で戻ってきた
「おい、セナ」
「?ふぁっ」
シャチとペンギンに宥められながら、未だ唇を尖らせて拗ねているセナを振り向かせると頰を軽く抓る
「いつまで拗ねてるつもりだ」
「ひゅねてひゃいもん!(拗ねてないもん!)」
「どの口が言ってんだ…ったく」
抓っていた手を離すと、頰を一撫でしてから手のひらで包み込んだ
「何が不満か言ってみろ」
「…不満は、ないけど、」
「じゃあ何が気に食わない」
「だからほんと拗ねてないんだって!ただ」
「ただ?」
「は、恥ずかしいの…っ」
目の前のセナは顔を真っ赤にしたかと思えば、ぎゅっと目を瞑って唇を引き結ぶ
やはり拗ねたように、頰が少し膨らんでいるのはどうやら無意識のようだ
「ローみたいに、百戦錬磨じゃないもん」
「オイ、誰が百戦錬磨だ」
「え、だって両手でも足らないくらい付き合ったことあるんでしょ?」
聞き捨てならないセリフに突っ込んだところで、やけに驚かれてしまった
誰から吹き込まれたのか…大体検討はつく
クルリと首だけ振り返れば、ベポの後ろに隠れて明後日の方向を向いている2人
「いや、ほら…隠し事は、ね?」
「良くないっすから…!会長が言いにくいだろうと思っ「バラして海に沈めてやろうか」
「「ひぃいいいいい!!!!」」
ローの本気のトーンに震え上がり脱兎のごとく逃げ出す2人はあっという間に姿が見えなくなる
「あー…ごめん、2人とも」
遠ざかっていった後ろ姿を見送りながら、申し訳なさそうに呟く
本当のことを言えば、セナが無理やり聞き出したのだが
「お前も余計なこと吹き込まれてんじゃねェ」